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2017年05月19日

大臣の「学芸員はがん」発言 文化を〝売り〟にするけれど

大臣の「学芸員はがん」発言 文化を〝売り〟にするけれど

 4月16日に大津市で開かれた滋賀県主催の地方創生セミナーで、山本幸三地方創生担当相が、「一番のがんは文化学芸員」と発言。「地方創生とは稼ぐこと」と定義して、京都市の世界遺産である二条城の英語の案内表示が以前はなかったことなどを指摘し、「一番のがんは文化学芸員だ。観光マインドが全くなく、一掃しないとだめだ」と批判しました。

法律に無知な大臣って…

学芸員とは博物館法に定められた専門職で、「美術史」「考古学」「科学」などの分野で資料の収集、保管や調査、研究を行います。また、収集した資料を来場者にいかにわかりやすく展示するかに尽力しています。
一方で、重要文化財などの保存と活用について定めているのは「文化財保護法」であり、学芸員は展示や教育普及の活動もこの法律の規定の範囲内で行います。
「がん発言」は二条城で日々行われている「観光イベント」にとって、文化財保護法の貴重な文化財を未来に残そうとする精神を必要としない考えが根底にあるのではないでしょうか。
自らが法律を守る立場でありながら、法律の主旨を全く理解しておらず、大臣のみならず、国会議員の資格すらも欠くものです。

「文化」のセールスマンではない

二条城の入城者数は5年連続増となり、2016年に180万人を突破しました。様々な集客イベントも開催されていますが、儲けを上げることが行政の仕事ではありません。文化や伝統を次の世代に引き継ぐことが行政の役割であり、学芸員をはじめとした職員の奮闘があってこそ、文化政策を推進できるものです。
文化を〝売り〟にする門川市長ですが、そうした大臣の発言についてはノーコメントです。文化庁の京都市移転をもとに、儲けの拡大を図ろうという意図も透けて見えます。大臣の言う「地方創生」の考え方では、文化や芸術、伝統を担う職員を文化財のセールスマンにしてしまうものです。今の世代で文化財を消費してしまっていいのか、文化政策が問われています。