市民のいのちを危険にさらす 〝自衛官募集広告〟に抗議
市民のいのちを危険にさらす
〝自衛官募集広告〟に抗議
戦争協力の痛苦の歴史から
市庁舎内の広報掲示板に、自衛官募集のポスターが貼り出されました。安保法制(戦争法)によって、海外での武力行使が可能となった自衛隊の入隊を促すことは、市民を戦場に駆り立てることになりかねません。京都市職労は緊急で京都市に対して申し入れを行い、ただちに掲示をやめると同時に、戦争に協力して市民のいのちを危険にさらすこととなる自衛官の募集業務を一切行わないことを求め、強く抗議しました。
戦争法施行と改憲の動きの中で
京都市職労は、戦後一貫して、憲法擁護の立場で「二度と赤紙は配らない」をスローガンに、憲法を守り活かす取り組みを進めてきました。その背景には、自治体が住民を監視し、戦地へ駆り立て、戦争に協力する業務を担いながら戦争体制を支えてきた痛苦の歴史があります。
1973年には「自衛官募集業務の拒否宣言」を行い、京都市に対して、自衛官の募集業務は一切行わないことを要求し、確認してきました。その取り組みの成果は「非核・平和自治体宣言」などの運動にも引き継がれ、日本の自治体のうち80%以上、京都では27自治体中、京都府を除く26自治体で「宣言」が行われました。京都市の「宣言」のなかには「戦争に協力する事務は行わない」ことが明記されています。
戦争法の施行を背景に、自衛隊が戦後初めて、戦場で外国人を殺し、戦死者を出す危険が現実的になり、2016年には自衛官の応募数が過去最低となるなかで、自衛官募集は自治体や学校などの公共の場でも躍起になって展開されてきました。
また、憲法改悪の動向が強まり、自衛隊を憲法に明記しようという『ありがとう自衛隊』キャンペーンが展開されていることも軽視できません。海外での武力行使を可能とする自衛隊を憲法に明記することは、際限なく戦争できる国へと突き進むものとなります。
こうした時期での自衛官募集広告の掲示は、自治体職員が課せられている憲法尊重擁護義務から大きく逸脱する危険な内容を含んでいます。
憲法尊重擁護の立場で
戦後、日本国憲法は、国民主権のもとで、天皇をはじめ公権力を行使するすべての公務員に憲法尊重擁護義務を負わせ、全体の奉仕者として国民全体に責任を持って仕事を行うことを義務付けました。私たち自治体職員も採用時に、必ずこのことを宣誓し署名しています。
こうした経過を踏まえ、京都市職労は3月16日に緊急で京都市に対して申し入れ、憲法を擁護し尊重するという責務に立ち返り、自衛官募集ポスターの掲示をただちにやめ、今後、自衛官の募集業務を一切行わないことを求め、抗議しました。
ポスターを見たOB職員は、「市職員生活のなかで、市庁舎内の広報掲示板に張り出されるのは、はじめてのこと。当局のなかでも住民を戦地へ駆り出すことになる危機感が薄れているのではないか」と危惧しました。