【声明】介護保険認定給付業務の集約委託の強行にあたって
【声明】介護保険認定給付業務の集約委託の強行にあたって
2020年4月7日 京都市職員労働組合 中央執行委員長 永戸有子
4月1日、京都市は京都市介護認定給付事務センターを開設し、これまで区役所で行ってきた介護保険認定給付業務を「センター」に集約、業務を人材派遣会社に委託した。これに伴い、これまで区役所で同業務や訪問調査を担ってきた130人の嘱託員の職を3月31日をもって廃止した。私たちの運動により、区役所で介護保険等の窓口を担う新たな職(全市で29人分)と緊急の訪問調査等に対応する職(別の職の再編として3人分を増員)がつくられたが、100人近い嘱託員は、別の職で任用されるか京都市を退職することを余儀なくされた。
この方針が2018年12月に京都市職労民生支部に提案されて以降、京都市職労は、これが、介護保険制度の運営責任を民間企業に丸投げして市民サービスを後退させるとともに、介護保険制度発足時から働いてきた嘱託員を雇い止めするという、雇用主としての責任を放棄するものであり、到底容認できないとして、方針の撤回を求めてきた。
また、京都総評、京都自治労連、京都社保協とともに、介護事業者にも呼びかけて160人が参加した集会を開催、そこで「雇い止めごめん!介護に責任をもて!市民の会」を結成し、この1年3カ月の間、多くの団体や介護事業者、市民と一緒にとりくみをすすめてきた。
市役所や区役所前での宣伝、事業者訪問、全戸配布ビラ、集会の開催、市への抗議FAXや申し入れなど、市民や介護事業者への周知活動と、京都市への抗議行動を重ねてきた。このとりくみを通じて、反対の声は広がり、撤回を求める個人署名は1万5000筆を超えた。
しかし、京都市職労や「市民の会」からの「委託して、どのように要介護認定に責任がもてるのか」、「業務遅延や市民サービス低下にならないようにどのような対策を考えているのか」、「偽装請負にならない方策をどのようにするのか」、「そもそもなぜ、業務に精通している嘱託員を雇い止めしてまで体制を見直す必要があるのか」などの指摘に対し、京都市は具体的な回答や説明もせず、また、業務の見直しによって大きく影響を受ける介護事業者からの意見も聞かず、説明も全く不十分のまま、「集約委託」ありきで突き進んだ。京都市職労として、集約委託の実施を強行したことに対して強く抗議する。
雇用の面では、京都市での雇用を希望する組合員の雇用については確保し、労働組合として最低限の到達点にたつことができたが、職が決まらないまま4月を迎えた嘱託員も少なくない。引き続き、雇用主としての責任を果たすよう京都市に強く求める。
京都市職労は、この間、「市民の会」に参加している多くの労働組合や団体、事業者、市民のみなさん、さらには全国の自治体の労働組合から大きな支援を受け、励まされてきた。そのことに深く感謝したい。私たちは、培ってきた繋がりを大切にし、集約委託による市民や介護事業者への影響を明らかにするとともに、京都市が介護保険行政の公的責任を果たすことを求めて、引き続き多くのみなさんとともにとりくみをすすめていく決意である。