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2020年06月16日

【ザ・しょくば】2020.6.15

「保健師13人 残業月100時間超」「4月、最長は230時間」。今月6日付の朝日新聞で、新型コロナウイルスの対応に当たる京都市の保健師の激務ぶりが報じられた。コロナ対応の最前線で働く保健師の奮闘には本当に頭の下がる思いだが、同時に、「電話が全然つながらない」「検査してもらえなかった」といった批判の矢面に立たされる事態にもなったのは過酷というほかない。▼国は「感染症の時代は終わった」として1994年に保健所法を地域保健法に変え、全国に847カ所あった保健所が2020年には469カ所に減った。京都市も10年前までは11区すべてに保健所があったが、京都市保健所として1か所になり、さらに各区に残されていた「支所」的な体制も3年前の組織改正で様変わりした。ちなみに最近まで1区1保健所体制を堅持し、保健師の地区分担制を守ってきた名古屋市では、感染経路不明者の割合が他の大都市と比べて低いという結果が出ているそうだ。全国で保健所の統廃合や職員削減を行わず、地域に根づいた公衆衛生体制が維持されていれば、感染拡大をもっと抑制できたのではないか。▼政府は、自治体職員を半分に減らすという「自治体戦略2040構想」を掲げ、京都市は「京プラン」に基づく職員削減をこれからも続ける姿勢だが、コロナ禍に直面した自治体の現状を直視し、一から考えを改めようとは思わないのだろうか。(鉄子)