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2020年06月16日

新型コロナ影響 商店街訪問調査

大打撃 売上50%以上減が4割
─新型コロナ影響 商店街訪問調査─

コロナ禍により、自粛を要請された中小企業や商店は、国からの保障も不十分なまま、経営困難に追い込まれています。
自治体では、様々な支援施策が行われていますが、個々の事業者の状況に応じた必要な施策が行き届かないという声もあります。
京都府職労連と京都市職労は、コロナ禍での経営実態をつかむために商店街調査を実施。支援事業に対する課題なども見えてきました。聞き取った声を行政に伝えていきます。

生業、暮らし支える制度の充実を

5月30日に行なわれた商店街調査には、府職労連と市職労組合員から28人が参加。訪問した商店街は、上京区の一条商店街、北野商店街、千本商店街、枡形商店街、出町商店街、堀川商店街。調査方法は、2人1組で商店を訪問し、売上状況や商売への影響、支援制度の利用状況や行政への要望を聞き取りました。また制度の紹介をすると、「制度が多岐にわたるなかで、どの制度が利用できるのかわかりにくい。教えてもらえて大変助かる」「ご苦労様」など歓迎されました。
訪問した商店の状況は、前年度との比較で売上50%以上減が4割超という深刻な実態が明らかになりました。
北野天満宮から近い一条商店街は、毎月25日の「天神さんの日」で知られる縁日に多くの観光客や地域住民で賑わいますが、2カ月連続で中止。商店街は閑散としています。また「大学のまち」とも言われる京都。「大学生のお客さんも自粛で来店がなくなった」という影響も。
コロナ禍での商売への影響のなかには「春の時期のイベントが相次いで中止となり、売り上げがゼロになった」(花屋)、「ゲストハウスが閉鎖したことで得意先がなくなった」(布団屋)、「卸売り先の飲食店の休業により、売り上げが激減した」(八百屋)など、経営難の連鎖も深刻です。
他にも「開店時間の短縮や休業をしていても家賃など必ずかかる固定費は保障されず厳しい」、「売上は減っているが従業員の給料は支払わなければならない。なんとか持続化給付金で耐え忍んだ」などの声もありました。
自治体の制度に対しては、「ホームページを見ているがわかりにくい」、「経営状況に応じてどんな制度が使えるのかわからない」といった意見も寄せられました。
地域住民の暮らしと同時に地域経済を支える商店街の状況は、業者の高齢化、観光客に依存した政策の弊害、消費税増税など深刻です。コロナ禍での影響により、そうした矛盾はさらに深まっています。生業や暮らしを守るために、循環型の地域経済の施策など、根本から支える経済政策も同時に重要な課題です。
自治体への要望や、制度に対する課題など寄せられた声を制度に活かせるよう府や京都市に伝えていきます。
京都市職労は「カウンターを越えて市民とともに」をスローガンに継続して取り組みをすすめていきます。

参加者からの感想

現場の生の声聞き深刻さ実感

現場で聞いた生の声、「貯金1千万円がたった2カ月で借金1千万円になった」、「自分ではインターネットができない。支援メニューが溢れるけど、自分がどれに該当するかわからない」、「事業が破綻した後で給付金が届いても意味がない…」などなど。
短い時間ではありましたが、世の中が回っている仕組みや縮図が垣間見えて、とても有意義な活動でした。例えば同じ花屋でも影響を直接受けているところ(切り花が中心)もあれば、ほとんど影響ないところ(鉢植えが中心)も…。
高齢者で家族や身寄りのある方は助けてもらえるけれど、そうでない独居高齢者は、どこからも支援が行き届かない場合も…。もともと地域コミュニティに参加している住民と、新しく地域に入ってきた住民とで、つながりに差があるように感じました。
また、ネット環境にアクセスできるか否かで支援が分断されるなど、情報格差も深刻になっています。
困難な時代に生きて、思考停止しない脳みそを鍛えるうえでも、足を使って現場を回る、地道な活動の重要性を再認識しました。

破産、閉店相次ぎ、できることもっとある

私は千本商店街を中立売より南下し、いくつかの店舗に話を伺い、コロナウイルスによる影響があるか聞き取りました。
飲食店や日用品店をいくつか回りましたが、特に飲食店の影響が大きく、京都府が休業要請対象事業者に対しておこなっている、給付金10万円では少なすぎると厳しい声を聞きました。
日用品店でも、ホテルやゲストハウスが休業していることによる売上減もあり、直接的な影響がなさそうな事業者でも、何かしらの影響があり、「それでも何とか頑張ってます」という声がありました。
限りある資源ですが、あのホテルが破産手続きしたらしいとか、あのお店が閉店したらしいと聞くと各事業者に対してもっとできることがあるのではないのかなと感じます。
アベノマスク配るぐらいなら、もっと充実させるべきところがあるのではないのかなと思います。