保健師体制の強化の真相
みせかけの『体制強化』でなく 保健師体制の抜本的強化を早急に!!
新型コロナウイルス感染症の新規感染者が京都市でも6月下旬から再び増え続けています。そのもとで、第一線で対応している保健師の働き方は本当に深刻な状況になっています。
京都市は7月29日に開催した新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、8月1日付の保健師の体制見直しを発表し、翌朝の京都新聞では「8人増員で体制強化」と報道されましたが、現場からは「これが体制強化なんて、とんでもない」との声が沸き上がっています。どういうことなのか、永戸中央執行委員長に話を聞きました。
「終電でも帰れない毎日」…一刻も早く改善が必要な保健師の労働環境
新型コロナウイルス感染症の相談や患者発生後の積極的疫学調査、検体の運搬、自宅やホテルでの療養者や自宅待機者の健康観察などのコロナ対応業務を中心的に行っているのが、医療衛生企画課の感染症担当部署の保健師です。
4月から5月にかけては、他部署から応援が入っていましたが、緊急事態宣言が解除された後は、次第に応援体制も縮小していました。そこに6月下旬から感染者が急激に増加したことで、7月には「終電でも帰れない」「帰宅するのは日付が変わってから」という異常な事態になっています。
これで「体制強化」とは言えない
一刻も早くこのような労働環境を改善する必要があります。けれど、8月の体制の見直しでは全体として保健師が増えたわけではなく、コロナ対応部署の体制にしても、4月~5月よりも感染者が多い中で、以前より体制が強化されたとはとても思えません。
京都市は「医療衛生企画課」の係長を4人増やしたように説明していますが、その4人は区役所・支所に配置されている「医療衛生コーナー」の医療担当係長を所属替えしたものです。これは、3月まで一緒に感染症対応を行ってきた部署を、4月の機構改革で別所属にし、兼職をかけたうえで、実質的には一緒にコロナ対応を行っていたものを、8月に再び同一所属に戻したというもので、これを増員というのは騙しのようなものです。(図1参照)
しかも、その4人と同じく感染症担当でコロナ対応もしていた「医療衛生コーナー」の係長9人を、この時期にコロナ対応とは別の引きこもり対応の係長(8月に新設)に配置して「体制強化」とは意味がわかりません。(図2参照)
みせかけでない抜本的な体制強化が必要
今回の見直しでは、応援体制が災害時の体制のようにシステム化されたことは評価できますが、これも本来ならもっと早くに構築されるべきだったと思います。
また、非常時ということで他部署からの応援体制が必要であることは理解できますが、本来業務がありながらの応援派遣ということになります。新型コロナウイルス感染症が長期にわたることを考えると、全体が疲弊するのは目に見えています。
市職労では、3月の時点で、担当部署の体制確保、労働時間管理の徹底や勤務間インターバルの確保等を行うことを申し入れ、その後も追及を続けてきました。
また、民生支部では、8月3日に保健福祉局に対し、実施体制の強化に向けた保健師の前倒し採用や採用増等を行うよう求めた「医療衛生コーナー見直しに係る申入書」を提出しました。
新型コロナウイルス感染症対応の第一線で奮闘する保健師の命と健康を守るためにも、抜本的な体制強化は待ったなしの課題です。市職労としてもその実現めざし引き続き奮闘します。