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2020年09月17日

No! 長時間労働 保健師の命守るため一刻の猶予なし!

No!長時間労働
保健師の命守るため一刻の猶予なし!
感染症対応の体制強化と担当職員負担軽減を求める緊急交渉

 京都市内で、連日複数の新型コロナウイルス(以後コロナ)感染者が発生している状況から、組織改正を行ったり、区役所からの応援体制を組んでも、感染症対応の職員の長時間労働は依然として深刻な状況です。

京都市職労は、職員の命を守るため一刻の猶予もないと判断し、人事当局に対して9月8日、コロナ感染症に対応する体制の抜本的強化と担当職員の負担軽減を求める緊急要求書提出交渉を行い、人員増とともに、確実な休息確保のための抜本的な業務体制の見直しを早急に行うよう迫りました。9月11日には民生支部が、保健福祉局に対して緊急交渉を行いました。

〝緊急事態を想定した人員確保は不可能〟と開き直り

本部交渉

コロナ感染拡大で様々な部署が緊急の対応に追われており、なかでも感染症対応の最前線の職員は、感染拡大がはじまった2月以降、100時間を超える時間外勤務が常態化する異常な事態になっています。

さらに、京都市内で本格的に感染者が拡大し始めた3月以降、収束していた6月を除いて、時間外勤務が200時間を超える職員が常に発生しています。命に関わる極めて深刻な状況の中、区役所の保健師を時間外前提で応援に出す状況で、保健師の絶対数が足りていないことは明らかです。

職場の実態を無視した人員削減が、根本的な原因であることを指摘し、異常な時間外勤務が半年以上続くことから「誰がいつ倒れてもおかしくない状況。保健師の業務の負担軽減と休息の確保は職員の命を守る上でこれ以上猶予ならない」と当局に強く迫りました。

当局は、「深刻な状況」と受け止めながらも、政令指定都市の中で保健師の数が多いことを強調し、「厳しい財政状況下で、今回のコロナ禍のような緊急事態を想定した、人員を常に確保しておくことは不可能」と開き直りました。

人員削減を行ってきた結果、今回のように長時間労働が深刻化する事態を引き起こしています。他都市との比較だけで判断し、職場の実態を全く無視する今のやり方では、今後も新たな感染症や災害発生時に同じ事態が繰り返されることは必至です。感染症や災害への対応は、自治体の業務と法律で位置付けられていることから、現場で働く職員にも自治体の対応を求める市民にもあまりに無責任な姿勢であり、認識を改めるように追及しました。

早急に保健師の休息を確保する観点から、人員増は大前提であり、その上で勤務間インターバルなど実効力のある新たな制度や、夕方以降の時間外勤務を前提とした業務の進め方の見直し等、一刻も早い手立てを強く求めました。

この間の機構改革で事務職が減らされてきたことで、保健師が本来発揮すべき専門業務以外の業務範囲が拡大している問題もあります。他都市と比べ保健師の数が多いと言いながら、この事態下での200時間を超える突出した時間外勤務となっており、「本来ならその分析を早期に行った上で対策を講じるべき」と厳しく指摘しました。

保健師の応援を出す区役所の職員からも「欠員や育児や介護等で時間外に制約のある職員もいる中で応援に出すこと自体が厳しい」と、切実な現場の状況を訴えました。

当局から、喫緊の対策として8月29日に、医療衛生企画課の負担軽減を図るため、事務職の係長一名と係員一名を新たに配置し、業務の切り分けを加速させること、9月3日から疫学調査、入院調整、健康観察等に従事する保健師や看護師を外部の派遣会社から順次受け入れていること、業務都合による早出遅出勤務の運用など勤務時間制度面での対応も検討することが示されました。またコロナの収束が見通せない状況から、来年度の保健師の採用数を当初予定の約35人から42人へ増やし、前倒し採用についても「最終調整中」としました。

しかし、今後もコロナ感染の長期化が予想されるなか、上限規制を超えない体制を考えての人数には到底足りません。同じ事態を繰り返さないためにも、コロナ感染対応の長期戦を見据え、人員増を前提とした長時間労働に対する抜本的な対策は待ったなしです。

京都市職労は、過労死基準を超える保健師の長時間労働の早急な解消に向け、民生支部と共同し、全力で取り組みを進めます。

 

保健師の長時間労働は、とっくに過労死ラインを超えている

民生支部交渉

交渉では、保健福祉局が要求書に対して回答。7月には課長1人、8月には係長4人を配置。随時応援体制を組むなどの体制強化。8月31日からは夜間や休日の応援体制を新たに確保したこと。9月からは派遣職員も導入していることや、9月15日付で事務、保健師2人ずつを前倒し採用、係長を医療衛生企画課に配置することが示されました。

「辞めたい」「休みたい」と複数の保健師が…

自らも応援業務に従事した保健師は応援業務に関する事務のずさんさを指摘。「応援体制の具体的な期間など事前に示されないまま行われていることで、勤務先が変わって通勤のために買った定期が使えず、払い戻しもできずに自分で持ち出しをした人がいたと聞いた。応援業務を頑張っているのに、事務連絡や諸手続きが雑になっているのではないか」「ある保健師は4月~7月に600時間の超勤をしている。過労死ラインはとっくに超えている。『辞めたい』『休みたい』と複数の保健師が言っているが『自分が休んだら周りの人に迷惑をかけるから休めない』とみんなぎりぎりで働いている。今すぐ業務の切り分けや増員で保健師業務の負担軽減をしないと、自殺者が出る可能性があるくらいの状況になっている」と告発しました。

保健師を応援業務に送り出してきた現場の組合員は、職場の保健師の意見を代弁。「(コロナ対応の最前線が)大変なので、応援せざるを得ないと思い従事しているが、応援に行く間、本来の担当業務が免除されてはいない。担当者がいないことが免除されているだけ」「応援先の医療衛生企画課の現場は、書類など整理できておらず、できていればもう少しスムーズに業務が行えると思う。それもできないほどひどい状態。消毒液や使い捨てマスクなど備品も不足している」「乳児検診も再開されている中、保健師が現場から抜かれることが大変。現場の負担も相当大きくなっている。応援体制は限界にきている」と、現場の実態を訴えました。
待ったなしの体制強化と、負担軽減を、民生支部は早急に求めていきます。