公民一体で春闘に取り組もう ─誰もが安心して生活できる自治体へ─
誰もが安心して生活できる自治体へ
公民一体で春闘に取り組もう
コロナ危機を理由に危機的な財政状況を標榜し、市民の福祉や職員の賃金カットなど前のめりで行財政改革を遂行する京都市。職場ではコロナ禍で感染症対応に追われる職員は、市民の命、健康、暮らしを守るために日夜奮闘する一方で過酷な長時間労働を強いられています。
市職労は、公民一体で取り組む春闘で、長時間労働の是正、人員削減、賃金カット、民営化や市民の福祉の切り捨てを許さず、市民生活を守るための自治体づくりをすすめます。
2021春闘方針のポイント
大野由晴 書記長
〝春闘〟と聞いても「民間の労働者が取り組むもので公務員の自分達には実感がない」という人も多いかもしれません。しかし、私たちの賃金労働条件に大きな影響を与える人事委員会勧告は、春闘で決められた民間の賃金水準を人事委員会が調査し、私たちの給与と比較して給与改定の勧告を出しています。ですから、この春闘の結果はこれからの私たちの賃金水準に大きく影響することになります。
さらに、人勧制度を通じた影響だけでなく、失業者を減少させ、不安定な雇用を解消し、労働者全体の賃金水準を引き上げることで、自治体の社会福祉経費を減らして税収を増やし、自治体財政を改善させることにもつながります。
このように春闘とは、あらゆる社会的な課題を解決し国民生活全体を向上させることで、誰もが安心して生活できる社会の実現を目指す、1年間の組合活動の出発点となる重要な取り組みです。
京都市職労は京都総評に結集する民間労組の仲間や幅広い市民と一緒に、賃金の引き上げや解雇争議の支援、非正規労働者の処遇改善、最低賃金の底上げ、社会保障の充実、平和の実現などに取り組んでいきます。
7月から始まる賃金カットは、人事委員会のマイナス勧告で引き下げられた削減額も含めて50億円に達したら終了することになっているので、民間賃金が多少下がっても私たちには影響がないと思うかもしれません。
ですが、経団連の発表の大手企業の2020年冬のボーナス妥結結果によると、平均妥結額は前年比9・02%減との報道もあり、この春闘でも賃下げの傾向が続けば、賃金カットを上回るマイナス勧告が出る可能性も十分にあります。例年、京都総評傘下の民間労働組合では賃下げなどに対して粘り強くたたかわれています。宣伝やストライキの応援の要請があれば積極的に参加していきます。
コロナ禍のなか医療・衛生分野で働く職員の働き方は悲惨な状況となっています。
社会保障充実の運動として京都市職労は自治労連が作成した、国会に対して医療・介護・福祉の財源確保や医療体制の充実、保健所・保健師の拡充を求める「いのちの署名ハガキ版」を地域で配布する取り組みを2月28日に行いました。
今年は京都市の行財政改革の問題についても追及していく必要があります。
賃金カットも人員削減も財政不足からくるものです。無駄な予算を徹底して削減できているかどうか、限られた予算の中でも市民生活を守ることを最優先とする予算となっているかどうか、しっかり点検し納得のいく説明を求めていきます。
そして、年度が変わるこの時期は要員闘争の時期でもあります。確定交渉で「業務量の減少が確実に見込める部分についてのみ、職員数を削減するものであり、単に財源不足等の理由により人員削減を進めるわけではない」という人事部の回答が事実であるかどうか点検し、理由のない人員削減を許さず、長時間労働となっている職場に増員が行われるよう、人員要求を強めていきましょう。
紙面の関係ですべて記載できませんが、この他にも様々な運動を予定しています。そして、これらの運動を保障するため、例年、春闘組合費を徴収して春闘財政を確立しています(詳細は「春闘組合費の徴収について」をご覧ください)。前述したように、今年の春闘は今までにも増して重要となることから、今年も徴収する必要があります。
一方で、コロナ禍により集会などの開催を見合わせていることから、組合員のみなさんの負担軽減につなげるため、若干ではありますが徴収率を昨年より引き下げる方針です。市職労財政も厳しい状況から脱却できていませんが、財政の収支を均衡させるための検討を進め、出来ることから改革をしていきます。
春闘要求書のポイント解説
賃金部長 福本えりか 書記次長
今年の特徴は、やはり、新型コロナウイルスと市の財政問題に関する要求です。
●なりふり構わない「民間活用」に歯止めをかけ、自治体の本旨に立ち返った行財政改革を
コロナ禍により行政対策の脆弱性が露呈しましたが、この教訓を生かすためにも、市の財政健全化にあたっては、自治体の本来の役割に立ち返った歳入歳出を軸とするよう求めます。また、様々な業務で「民間活用」が進められていますが、介護保険の認定給付業務のような市民や関係団体に多大な悪影響を及ぼす事態を生まないよう、市が自ら示す「民間活力を活用する際の留意事項」による検証の仕組みづくりも求めます。
●医療・公衆衛生行政の充実
医療・公衆衛生の充実については、より具体的な要求を入れました。国に財政支援を求めることはもちろん、保健所の行政区ごとに感染症対策を行う地域分担制への再編など抜本的な組織の見直し。「特例業務」に従事する長時間労働は直ちに解消し、専門職の適所配置をするなど、公的責任を果たす土台づくりを求めます。
●感染症から職員を守る
感染症から職員の身を守るため、感染対策物品は使用者の責任で確保し、配布を行うことを求めるとともに、仮に感染した場合も安心して働き続けられるよう、積極的に公務災害認定請求を行うことを求めます。
●非正規職員の処遇改善
非正規職員は正職員以上に弱い立場に置かれがちです。会計年度任用職員の雇用不安をなくすため、再度任用のための公募廃止や、勤務時間や勤務地などの勤務条件をむやみに変則的なものとしないことも求めます。
要求書は103項目と多岐にわたりますが、一つでも多く実現できるよう、組合員の皆さんと仲間の労働組合と共に運動を進めていきます。