どこがやねん「子育て環境日本一」? 保育に対する公的責任放棄
どこがやねん「子育て環境日本一」?
保育に対する公的責任放棄 ─市営保育所の縮小・廃止も示唆─
京都市は、財政難と「民間でできることは民間で」を強調し、移管による地域の子育て環境への影響の検証も行わず、公的施設としてのセーフティネットの役割を放棄して、この間市営保育所の民間移管を強引に進めています。
さらに今後は民間移管ではなく、市営保育所のまま縮小・廃止する可能性まで市長自らが発言しました。京都市の姿勢に、多くの批判の声が上がっています。
「市営保育所というセーフティネットを市民から奪っているということを自覚しているのか」と議員が厳しく問いました。
2月24日に行われた市会本会議の代表質問で市営保育所の民間移管について、市長は、「市営保育所のみがセーフティネットではない。民間でできることは民間でという考えのもと、あらゆる場面で民間移管を検討する」と答弁。聚楽保育所については、「今後施設の縮小や廃止も含め、あらゆる選択肢を検討する」と強弁し、廃止を示唆していることは見過ごせません。
セーフティネットとは
市長は答弁で、民間保育園に通う障がいのある子どもの受け入れ人数が5年前の1・2倍になったことを示し「民間保育園で大変貢献してもらっている」とセーフティネットであるような答弁をしました。
障がいがある子どもの受け入れは保育施設として当然のことです。14カ所の市営保育所では、入所児に占める障がいのある子どもの割合が民間園より3倍程度多く、民間保育園で受け入れを断られた子どもも複数います。
民間園で受け入れられないケースを公的責任で保育することがセーフティネットであり、これ以上民間移管が進むと保育を受けられない子どもが出現する可能性があることを議員は指摘しているのです。
民間でできることは民間でと言われても…
「市営保育所では、先駆的な保育の取組や災害等予期することができない突発的な事象への対応など、公として果たすべき役割を果たしていく」。
2020年度から5年間で実施する『京都市はぐくみプラン』に、市営保育所の今後の役割として明記されています。
「その役割を果たすために、市営保育所は何カ所必要だと考えているのか」。
幼保総合支援室と、民生支部保育所評議会の交渉で追及すると、「具体的な設置箇所数を示すことはできない」と回答しました。他都市でもこの間、民営化は進んでいますが、公営保育所として担う役割や設置箇所数などはっきり示した計画があります。
京都市には、公営保育所が極端に少なく、必要な設置箇所数も示していません。
鏡山保育所は法人からの申し出により、民間移管が突然決まりました。聚楽保育所は移管先法人の辞退により移管が白紙になった後、来年度の受け入れを年齢制限し、縮小廃止も示唆。
民間移管の理由は、財政難と、「民間でできることは民間で」。
これは、保育に対する京都市の公的責任の放棄以外の何物でもありません。