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2021年09月03日

「限界状態を超えて崩壊」ー新型コロナ対応職場のいまー

「限界状態を超えて崩壊」ー新型コロナ対応職場のいまー

8月の盆明けから、新型コロナ感染者数は急増し、20日からは緊急事態宣言が出されました。

在宅療養者、疫学調査も日々膨大な数に及んでいます。

京都府内で、連日500人を超えて感染が爆発的に広がる中、医療衛生企画課に応援に入っている保健師の仲間に現在の職場の状況を聞きました。

「限界状態を超えて崩壊している」 その声は怒りに震えていました。


保健師の仲間からの声により、「崩壊している」という職場の深刻な実態が浮き彫りになりました。

医療衛生企画課には、応援職員が多数入っていますが、執務室はキャパオーバー。

応援職員には、会議室の長机や椅子が並べられ、それでも座りきれず、席につけなかったら、あてがわれた携帯で立ったまま応対する職員や、隅で作業するような状態です。

「事務机ではないから身体が痛い」「毎朝が椅子取りゲームのよう」だと言います。

市民からは毎日不安に駆られて相談の電話がかかってきます。電話は鳴り止まず、回線が少ないために「繋がらない」と怒りの声も。電話対応に追われますが、それでも回線の増設が必要だと訴えます。

休憩は隙をついて取りますが、休憩場所は6人しか座れません。昼食を取りながら仕事をしなければならず、休む時間も場所もありません。

そのような状況のなかで、毎日明け方の3時~5時まで働き、帰宅せずに徹夜明けで朝から業務に就く職員もいます。

「病休の職員も複数いて、家族から、『死ぬ前に辞めてほしい』と言われて、退職を決断しようとしている職員もいる。同じことを繰り返している!」
込み上げる怒りや悔しさを押さえきれず語気を強めました。

それでも疫学調査はまったく追いつかず、調査待ちは公表されている数よりも桁を超える数にのぼると言います。

「がんばってもがんばっても追いつかない。市民のみなさんに申し訳ない」
「京都市は、死人が出るのだけはメンツとして食い止めないといけないと考えている。

重症化しそうな人はとりあえずスクリーニングして、優先的に病院に入れる。それでも病床確保ができない状態にある」声を震わせます。

区役所に保健所機能を

「いまやるべきは、保健師の大幅増員とあわせて、区役所に疫学調査や在宅療養者の健康観察などコロナ対応ができる保健所機能をつくり、区役所勤務をしている職員が柔軟に応援に入れるような仕組みと、本庁は入院対応に特化させるなど抜本的な見直しが必要」だと語りました。

京都市職労は、職場の実態や職員がおかれている状況を把握して、市民の生活を守ると同時に職員の命、健康を守るための取り組みを強化していきます。

 

新型コロナ対応職員のいのちと健康を守るための
緊急要求書提出

京都市職労は、この間、新型コロナ感染症に対応する職員の、働き方や職場の実態、健康や生活など実情を聞き取ってきました。

過去最多を更新し続ける新型コロナ感染症の拡大で、保健所など新型コロナ対応に追われる職員の状況は想像を絶する事態となっています。

業務や職場環境などの具体的な改善を図るために、聞き取った声を要求書にまとめ、市職労本部と民生支部共通のものとして、8月19日に人事部に対しての本部交渉、20日に保健福祉局に対する民生支部交渉を行いました。

緊急で改善すべき課題として、感染拡大時であっても、超勤時間が100時間を超えず休日を週2日とれる勤務体制を確保すること。市役所全体で不要・不急の事業の休止や整理を図り、必要な部署に人員を配置することを求めました。

民生支部交渉では、医療衛生企画課での応援業務に従事してきた保健師が実態を訴え、具体的な改善策を迫りました。

副市長依命通達
最大限の職員応援

8月24日に、副市長の依命通達が出され「感染症対応を最優先業務と位置付けて、各局区から最大限の職員応援をもってこれに当たること。

市民に重大な影響のある業務を除き、各局区長の判断で業務の一時期的な縮小、停止、業務分担の変更等を検討し、実施すること」を求めました。

緊急的な応援体制のなかで混乱している職場もあります。

市職労は保健師の大幅増員と区役所に感染症対応ができる保健所機能をつくること、保健師の専門性を活かした適正な配置を求めて、追及していきます。

 

市職労に寄せられた
保健師の悲痛な声

「死ぬか辞めるか」と語り退職を余儀なくされた保健師、公衆衛生業務に長年携わってきたベテラン保健師、新採で配属された保健師など、その声は切実です。

労務管理が機能していない実態や、4週4休の状況、日々変わる対応方針が共有されていないなど。

なかには、「新採で初めての仕事なのに聞く人がいない」「夜寝ても100%怒鳴られる夢を見る」と、追い詰められています。

「体も心も限界だった」
退職を余儀なくされた保健師は、第3波時は連日3時4時までの長時間労働、昼食をとる時間もなく、「深夜まで何も食べないこともあった」といいます。それも低血糖になって手が震えるので、何か口に入れるという状況。

「何でもないことで涙が出て、職場で涙が止まらなくなって、トイレに駆け込み必死に抑えて、また仕事をした」

頭痛や倦怠感、胃痛、動悸は常にあり、いつ死んでもおかしくない状態。「明日ちゃんと目が覚めるのか不安に思いながら眠りにつく日々でした」と振り返りました。

朝6時まで仕事をして、そのまま翌日の勤務となることも。睡眠時間は平均2時間程度で、「目を閉じても、職場で鳴り響く電話の音が聞こえ眠れなかった」。

そのうえ、感染激増のなか、市民からは電話でいつも怒られ、「死んだら一生呪ってやる」と言われ、無力感も。

自分では退職の決断ができず、家族から「自己犠牲で働いても組織は変わらない、抗議の意味で退職する」ことを説得されました。

壮絶な働き方をしてきた彼女は願うように訴えます。
「人間らしく働ける職場になってほしい」