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2021年09月03日

ザしょくば【2021.9.1】

以前、長崎での原水爆禁止世界大会に参加した時、被爆体験者訴訟の当事者から話を聞いた。▼爆心地から東に約12㎞離れた長崎市川内町(旧・戸石村)では、原爆投下後、原爆の威力等を確認する「ラジオゾンデ」と呼ばれる計測機が落ちた。▼多くの焼け焦げた紙や灰、煤なども飛来し、川や用水路では水面全体に浮遊した。当時の住民は、放射能について知る由もなく、浮遊物をよけながら、飲料水や畑で採れた野菜などを洗うなどの生活用水として使用した。放射能汚染されたものを口に入れるのだから、内部被曝し人体に多大な影響を及ぼしているのは明らかだ。▼しかし、この地域は援護地域外で被爆者健康手帳の対象とならず、被爆者ではなく被爆体験者として扱われている。▼被爆者は放射線障害による病気のリスクを負っていることから、被爆者健康手帳が渡されている。その手帳の対象基準としている国の定めた援護区域を巡り、話題となったのが広島の黒い雨訴訟であった。▼菅首相は、広島の黒い雨訴訟の上告を断念したが、長崎の被爆体験者訴訟についても、援護地域を見直し、被爆体験者が被爆者であることを率直に認めるべきだ。▼住民の暮らしを守る法律や条例は数多くあるが、満足な住民サービスを受けられない人たちもいる。自治体は、そうした住民にも寄り添って、住民のいのちと暮らしを守るためにあらゆる施策を講じて欲しい。(もみじ&カステラ)