区選管職員懇談 ―深刻な長時間労働、脆弱な区役所体制の課題も―
区選管職員懇談 ―深刻な長時間労働、脆弱な区役所体制の課題も―
10月31日投開票を迎えた衆議院選挙。
以前から、選挙事務を担う選管職員の長時間労働の状態は深刻です。
課題解決のための糸口とは。区選管の組合員が集まり懇談しました。
今回初めて行われた課長補佐級以下の本庁職員の選挙事務応援、区役所の脆弱な体制、コロナ禍での選挙事務、懸念される行財政改革によるさらなる人員削減など、課題は多岐にわたります。
29日連勤、200時間超の職員も
長時間労働の状態で、10月の時間外労働の状況は、100時間超の職員が多数で、200時間超もいます。
岸田首相が選挙日程を発表したその日から休んだ日が一日もなく29日連勤という職員も少なくありません。
「期日前投票の準備で7時30分に出勤し、交通機関の最終便に間に合うように23時頃には職場を出たが、帰宅するのは24時近くになる」という生活が続きました。
「せめて自分が投票できる日を確保してほしい」と言います。
職場によっては定時退庁日を作るなどの工夫もありますが長時間労働の抜本的な改善までには至っていません。
問い合わせの電話やクレーム対応、事務処理も多く、「業務量を改善してほしい」と声をそろえます。
休暇は取れず、長時間労働のなかで、睡眠不足に。「失敗が許されない選挙業務で、正常な判断も難しくなる」「高ストレス状態で、最近でも仕事の夢を見て目が覚めることがある」「『選挙は特例業務ではない』と言われているなかでの過労死ラインの月80時間以内の超過勤務は到底無理」「勤務間インターバル制度も話題になっているができない」と、続きました。
選挙事務に従事できる職員が減るなかで、今回の衆議院選挙で初めて課長補佐級以下の本庁職員の応援がありました。
背景には、そもそも区役所業務の集約化がすすみ、区役所職員が減員されてきた経過があります。区役所には、子育てや介護をかかえる職員も多く、選挙事務に従事することが困難な状況もあります。
懇談では「全市あげて選挙をやりきるという意識が低下してきているのではないかと感じることがあった。本庁応援がないとまわらない。今回は、経験者も呼べるので助かった」と語りました。
一方で「行財政改革によるさらなる人員削減でこれ以上職員が減らされることになれば、業務がまわらなくなる。
本来、災害対応や選挙事務は区役所で責任をもってやるべき」と憤りも。新型コロナ感染拡大と選挙事務が重なった場合の想定も必要です。
「振替休日はいらない。超勤対応にすればもっと人(選挙従事者)を増やせるのではないか。長時間労働の改善には、人員を増やし、業務量を減らすしかない」
課題解決に向けて、要求していきます。
本庁の応援職員 「民主主義の根幹をなす仕事」
本庁応援として初めて選挙事務にかかわりました。
区の体制が脆弱なのはあきらかで、区選管が苦労している様子もありました。
分厚いマニュアルを渡されましたが載っていないこともあり戸惑うことも。
投票所が閉まり片付けに追われ開票作業まで休憩する時間もありませんでした。
選挙は民主主義の根幹をなす重要な仕事です。
選挙時期に限らず、継続的なノウハウの継承や研修、体制の強化など、日頃から選挙事務体制の充実を図っていく必要があります。