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2022年04月01日

わたしの仕事と市民の生活 My work for the whole community 「市民窓口業務のいま」①

市民生活に近いはずの窓口業務が遠く

私たち自治体公務の仕事は、その一つひとつが市民生活に深く関わっています。組合員のみなさんの業務の中での思い、葛藤、実践などを紹介します。

今回は、市民窓口業務を取り巻く市政の状況や課題について業務を担う組合員に聞きました。


市民の利便性欠く
証明書発行コーナー廃止

京都市では、区役所・支所の市民窓口課、出張所と9カ所の証明書発行コーナーで各種証明書を発行しています。

今回、「区役所窓口サービス向上プラン」としてマイナンバーカードの普及によるコンビニ交付サービスの利用促進にあわせて、西院、向島、嵯峨、岩倉の4コーナーを3月末で廃止することを決めました。廃止される4カ所のうち、岩倉と嵯峨はもともと出張所であったものがコーナーへと縮小され、今回全廃されます。

年間の発行件数を見ると、西院は5万件を超えています。駐車場があり利便性の良いコーナーが区役所窓口の代わりとなる役割を担ってきました。一定のニーズがあるコーナーの廃止で、各種証明書を必要とする市民や事業者にも混乱が生じる恐れがあります。

コーナーで担っていた証明書発行等業務すべてがコンビニ交付で補えるわけではありません。

コンビニ交付にはマイナンバーカードが必要とされています。マイナンバーカードの交付率は38・3%(2021年7月)で、市民のなかにはマイナンバーカードに対して個人情報流出の警戒感や疑念を持つ人もいます。区役所窓口に来庁した際は、市職員による丁寧な対応ができますが、コンビニ交付はそういう対応はありません。暗証番号をまちがえてロックされてしまったら発行できません。

証明書発行コーナーの廃止は利便性を欠き、市民に負担を強いることになります。

さらに、コーナーの廃止で区役所業務がひっ迫する懸念もあります。

 

マイナンバーカードセンター開設
集約化の弊害
「区役所で完結できない」

2021年9月に開設されたマイナンバーカードセンター。

これまで各区役所、支所でカードの交付、申請受付、電子証明書の発行・更新、暗証番号の変更・初期化の手続き全般を担ってきましたが、センターに集約後は、各区役所、支所が取り扱う業務は予約制での交付とマイナンバーカード申請サポートとなりました。

センター開設から半年が経過した今でも区役所で手続きができると思い誤って来庁する市民も。その苦情に対応する必要もあります。

マイナンバーカードセンターの状況は、処理に対して目標が決められていますが、変則勤務もあり業務が分散され人手が足りないなかでは困難です。センターでは、予約ができないために長時間市民を待たせています。

会計年度任用職員の働き方についても問題だらけです。勤務公署が複数カ所設定されており、証明書発行コーナーでの予約が少なければ、その日のうちにセンターに引き上げることもあります。

区役所、支所では配置される民間派遣社員と会計年度任用職員一人のみの職場となり、負担を強いています。万が一のトラブルへの対処として市民窓口課長が兼職で対応していましたが、新年度体制で兼職を外すとしています。

今後、交付件数は減るかもしれませんが、5年毎の更新を五月雨式に向かえることも予想されます。また、他業務でもマイナンバーが必要とされていくのに、市民生活に近い区役所では手続きができず、センターまで行かなければなりません。

「区役所で市民サービスが完結できなくなっている。集約化の弊害だ。センター開設に市民は納得していない」

取材に応えた組合員は怒りをにじませました。