【23春闘働くみんなの要求アンケート】民間の賃上げ応援=私たちの暮らし応援
2023春闘が佳境を迎えています。そもそも「春闘」とは、年度替わりの春に、民間の労働組合が賃金・労働条件について要求し、使用者(経営者)と交渉し決定することをいいます。
市職労では、春闘の基礎資料にもなる「働くみんなの要求アンケート」を昨年12月に実施しました。
この結果も踏まえて、今年の春闘の特徴や、私たちの暮らしや賃金・労働条件との関わりを考えてみたいと思います。
物価高騰で“食費”・“光熱費”負担増/賃金が低い人に一層のしわ寄せ
昨年度の結果と比較して、特徴があったのは、「昨年と比べて家計の中で、特に負担に感じている費目は?」(複数回答)に対する回答です。
「食費」と答えた方の割合が 前年の回答から10%増加し、38%に上りました。
「光熱費」については20%増加し、34%でした。また、雇用形態別で見ると、「食費」と答えた方の割合は、非正規職員は47%と、より多くなっています。
「光熱費」についても、再任用職員では46%、非正規職員では42%と、正規職員の31%と比較すると多いことがわかります。
異常な物価高騰の影響が家計に、そして賃金が低い方ほど大きいことがアンケート結果にも表れています。
今年の春闘の特徴は?
暮らしには“逆風”も、賃上げムードは“追風”
暮らしが大変な原因は物価高騰だけではありません。
日本の労働者の賃金はおどろくほど低く、先進国では日本だけが賃金が上がらない異常な状態が続いています。
諸外国の製造業を20年前と比較すると、少なくとも50%は上がっていますが、日本では1割も上がっていません。
さらに、消費税増税や社会保障の負担増で、労働者の実質賃金は減少が続いています。
こうした中、岸田首相は年頭の記者会見で、この30年間、想定されたトリクルダウンは起きなかったとし、「賃金が毎年、伸びる構造をつくります」と述べました。
経済界も政府からの要請をうけ、賃金引上げを言わざるを得なくなっています。
今、賃上げしなければもう二度とない?!ストライキで本気の構え
この追い風をとらえて、全労連に集まる私たちの仲間の労働組合は、「ストライキでたたかえる労働組合」へと一歩を踏み出しています。
ストライキは、労働者、労働組合にとって最も高い戦術です。
労働者は、使用者に対しては弱い立場におかれていますが、ストライキをすることができる体制をとることで、はじめて労働組合と使用者が対等になって交渉することができます。
今、世界中で賃上げを求めるストライキの連鎖が沸き起こっていますが、ストライキによって失われた年間労働日を比較すると、2010年から2019年の平均でアメリカは1億13万7000日、韓国74万6000日に対し、日本は極端に少なく1万日です。
実質賃金が四半世紀にわたり下がり続けている日本でこそ、「ストライキがあたりまえ」に踏み出そうと全労連が提起しています。中には事前に交渉の練習をして本番に臨む労働組合もあります。
必要なのは月3万円以上
企業が労使交渉をしないまま「賃上げ」を行い、結果、月数千円から1万円程度賃金が上がったとしても、労働者の要求は実現したと言えません。
「働くみんなの要求アンケート」でも、「月3万円以上」の賃上げが必要との回答が24%と、毎年最も多くの回答が集中します。
民間の労働組合も“生活に必要な給料”(生活給)として、「平均10%増」、「月3万円以上」の賃上げを要求して闘っています。
大幅賃上げは民間も公務もすべての労働者の願いです。
春闘結果は何に影響するの?
自治体労働者の賃金にダイレクトに影響
民間の賃金は私たち公務員には関係ないと思われるかもしれませんが、実は、例年私たちの賃金労働条件に大きな影響を与える人事委員会勧告は、春闘で決められた民間の賃金水準を人事委員会が調査し、私たちの給与と比較して給与改定の勧告を出しています。
すなわち、この春闘の結果はこれからの私たちの賃金水準に大きく影響することになります。
とりわけ昨年は、政令指定都市の中で京都市人事委員会のみが引上げなしと報告し、確定交渉でも給料月額の引上げを勝ち取ることができませんでした。
春闘で民間の賃上げ幅が大きいほど、今年の京都市の勧告も期待できます。
購買力アップで、地域経済の好循環や市税収入のアップを期待
賃金は個人の家計の問題に留まりません。
家計にゆとりがなければ、消費も落ち込みます。
例えば2人以上の勤労世帯の消費支出は、2021年は平均年263万円で、21年間で51万円も減少しており、地域経済に与える影響も深刻です。
しかし、賃金が上がれば消費、購買力も上がり、地域内での好循環を生み出すことになります。また、所得の増加は、市税収入の増加にもつながります。
ただし、こうしたことは労使任せでは実現しません。
とりわけ中小企業は物価高や賃上げの価格転嫁ができず厳しい経営状態に置かれています。
消費税の減税をはじめ、中小企業経営を直接支援する対策が求められています。
使用者と交渉するのは労働組合ですが、政府や経済界全体を「賃上げ」へと後押し、賃金以外の様々な暮らしに係る要求を実現させてこそ、私たちは安心して暮らせます。
それには公務・民間問わずすべての労働者の力が必要です。「国民春闘」の「国民」にはそうした意味が込められています。
お知らせ
2023春闘働くみんなの要求アンケートの結果は、市職労の公式HPでも公開しています。