70年以上変わっていない職員配置基準!? 子どもたちのために改善を!の声大きく
子どもたちにもう一人保育士を
保育現場をめぐっては、愛知の保育士や保護者がはじめた「子どもたちにもう一人保育士を!」と訴える運動が、今注目を集めています。
一方京都では、行財政改革計画の中で民間保育園に対する13億円もの補助金を削減させたことに対する、保育士たちの怒りの声が大きくなっています。
保育現場に求められることは変化しているのに
いまの保育現場では、長時間保育、障がい児保育、外国籍の子どもの受け入れなど、社会の変化によって求められる内容も変わってきました。
しかし、保育を担う保育士の配置基準は1948年から70年以上変わっていません。
昨年愛知県の公民の保育士らでつくる実行委員会が行ったアンケートでは「地震・火災など災害時に、今の配置基準では子どもの安全と命を守れない」と答えた保育士が84%にも上り、これは全国の保育現場にも当てはまります。
「災害時、0歳児2人はおんぶと抱っこできても、3人目はどうすることもできない」このような現状が放置されているのが、今の保育現場です。
コロナ禍で配置基準の問題を改めて実感
コロナの感染拡大のなかで、登園自粛などで子どもの人数が通常より減り、普段より余裕をもって子どもに丁寧に関われることを経験した全国の保育士たちは、配置基準の改善の必要性を改めて実感しました。
愛知の仲間の「子どもたちにもう一人保育士を」の保育運動は共感を呼び、全国に広がり、国会の場でも取り上げられました。
京都市のほか全国の自治体から、国に対し「保育士配置基準の改善を求める意見書」が次々と採択されています。
この動きを政府も無視できず、2月28日には保育士の配置基準を改善する方向で調整に入ったことが明らかになりました。子どもたちの命を守り、安心して保育ができる配置基準の改善を求める現場の声が、国を動かしています。
国の異次元の子育て支援は関係なし?
民間園の補助金削減問題
国も、「異次元の少子化対策」のため、少子化対策を含むこども関連予算を倍増し、少子化対策や子育て支援に力を入れようとしています。
しかし京都市では、行財政改革計画の名のもとに、学童保育の利用料の見直しや、民間保育園への補助金を13億円も削減するなど、子育て支援の充実に逆行する動きをしています。
民間保育園で働く保育士たちの労働組合、全国福祉保育労働組合京都地方本部は、「補助金削減によって、保育士の賃金や賞与が減らされ、働き続けることができなくなる」と訴え、削減撤回を求める運動を進めています。
2月26日、市役所前に保育士や保護者が約300人集まり集会を行った後、補助金削減の撤回を求めてパレードを行いました。
京都市営保育所の現場に対しては、3月8日に行われた幼保総合支援室の交渉で、「国からの加算が付けば、配置基準の改善は可能か?」との質問に、「京都市の厳しい財政状況の中で、国からの加算が、そのまま更なる京都市独自の配置につながることは難しい」と後ろ向きな態度です。
「現場の努力だけではもう限界」そんな切実な声を、国と自治体が受け止めることが、異次元の子育て支援の実現になることは、間違いありません。