<ジェンダー平等の推進が必要な時に>「えっ!?ウィングス京都はどうなるの?」
民間貸与ではなく本来の機能の充実を
京都市は2021年8月に策定した「行財政改革計画」の取り組みの柱のひとつに、「公共施設のマネジメントと資産の戦略的な活用」を掲げています。
その中で「男女共同参画センター」(ウィングス京都)が在り方を検討すべき施設とされました。
そして、2022年6月から民間に貸与するためのサウンディング調査の実施を進めてきました。
サウンディング調査とは、公有財産の活用や民間活力導入の検討などを行う際に、事業の検討段階で事業者との対話を通じてアイデアの収集や市場性の有無、実現可能性の把握を行うものです。
このような動きの中で、3月5日、市民らでつくるウィングス☆みんなの会(仮称)が主催する「男女共同参画センターの可能性とこれから」が開催されました。
基本のスペースが民間利用に
ウィングス京都は、1994年に「京都市女性総合センター」(その後2006年に「京都市男女共同参画センター」に名称変更)として開設された京都市の施設で、財団法人京都市男女共同参画推進協会が指定管理者となって管理運営を行っています。
京都市が2021年に策定した第5次男女共同参画推進計画においては、計画を推進する中核施設として位置づけられています。
昨年実施されたサウンディング調査における調査対象のエリアは、現在事務所や相談室、図書情報室、交流コーナーなどがおかれている、ウィングス京都の基本部分である「1階及び2階の一部(2000㎡程度)」とされています。
このエリアに「ウィングス京都の新たな価値の付加・更なる魅力の向上等につながるアイデア等(飲食等の店舗、事務所〈シェアオフィスやスタートアップオフィスを含む〉、教育系施設、子ども関連施設〈託児施設、学習塾等〉など)」について提案が募集されました。
ジェンダーギャップ解消のために必要な施設
3月5日に開催された集いでは、全国女性会館協議会の納米恵美子代表理事の講演があり、全国の男女共同参画センターの現状や、国の動き、機能強化のために必要なことなどについて話がされました。
その中で、ウィングス京都の学習・研修活動について言及。
「非常に充実した講師陣を抱え、有料の講座であっても集客できる力を持っている」と高く評価しますと話されました。
また、国の動きとして、女性版骨太の方針2022の中で、地域におけるジェンダーギャップの解消のために各地の男女共同参画センターの機能の強化・充実が必要であることがあげられていることが紹介されました。
京都弁護士会として市に要望書を提出
講演後の参加者の交流では、大脇美保弁護士が発言し、2022年10月20日に京都弁護士会が京都市長に提出した「京都市男女共同参画センター(ウィングス京都)の存続・発展を求める要望書」について、ウィングス京都の基本的部分を民間事業者に貸与された場合、法律支援を含む各種相談、男女共同参画のための諸活動が全く行われなくなるのではないかという危惧があるために要望することになったと説明。
その中で、京都市はその基本的な活動を今後どこで行うのか全く説明していないこと、この問題について本来審議すべき「京都市男女共同参画審議会」においても8月に開催された会議で終了5分前に報告事項として報告されたのみであること、京都市民からの意見聴取も全く行われていないことなど、京都市の進め方の問題についても指摘がありました。
要望書では、京都弁護士会で実施している女性のみを対象にした無料電話相談は、常に電話が鳴りやまない状況であるほど女性相談の需要が大きいこと、昨年5月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が成立し、2024年4月1日に施行されることからも女性支援のための拠点施設はこれまで以上に重要となることが書かれています。
大脇弁護士は相談活動について、京都市消費生活センターでの法律相談が廃止とされたことにも触れて、縮小・廃止の懸念が強くあることを強調されました。
他にも、施設の利用者からの発言等、ウィングス京都が果たす役割が出されました。
行財政改革計画は、様々な分野で自治体としての責任の後退・放棄をすすめようというものですが、「男女共同参画センターの可能性とこれから」の集いでは、ウィングス京都の機能充実こそが求められていること、それに逆行する京都市の姿勢を追及していくことが必要であることが共有されました。