2023年07月19日
ザ・しょくば【2023.7.1】
政府が打ち出した「異次元の少子化対策」。わざわざ異次元と言っているのだから、今まで想像したこともないすごいことや、無理だとあきらめていたことが実現するような、素晴らしいことが出てくるのではないかと期待したが、そうではなかった。▼長年変えられなかった保育士の配置基準を改善すると言っているが、実際は基準以上に職員配置した保育施設には「加算」をつけるというもので、配置できる施設、できない施設ができる。そのことは子どもが受ける保育に差が生じることになる。そうならないために配置基準自体を変えることを求めても「(守らなければならない)配置基準を変えてしまうと、保育士を確保できない施設が出てきて、現場が混乱するからできない」と国の担当者は言う。確かに、いま保育士の確保は難しい。保育士の資格を持っている人が減ったわけではなく、有資格者のうち、保育現場で働いていない潜在保育士が7割もいるからだ。▼今の配置基準では、年休取得さえままならない。保育所は12時間開所がスタンダードで、そのための時差勤務で毎日の出勤時間が違うことも、子育てと両立しようと思うとかなり負担は大きい。それらのことが、潜在保育士を生み出す原因でもある。国が配置基準を改善して、保育士が余裕をもって仕事ができるようになれば、保育士不足解消に向けて大きく進む。加算ではなく基準を変えないと。(田んぼの田)