【スマート区役所】窓口ICT化実証実験について
市民サービスの向上、業務効率の改善ができるのか?
右京区役所では、市民窓口課の受付業務のICT化実証実験が始まっています。
京都市はICTを導入し、次の3つのことを実現し、市民サービス向上や業務効率を向上させる効果があると言っています。
右京支部の支部長に聞きました。
1.簡単な質問に答えることで自身に必要な手続を判別・選択できる。
2.マイナンバーカード等の券面情報の読み取りにより、手続に必要な氏名・住所等の情報を自動入力できる。
3.機器操作のサポート要員を配置する他、テレビ電話による遠隔相談により、来庁者の質問等に対応する。
現状では効果なし
市民サービスの向上と業務効率の改善がICTの導入で実現できるのであれば賛成です。
しかし、現状ではそのような効果が見られないと言わざるを得ません。
質問の項目が多く、手続きの申請書を作成する画面に行くまでに時間がかかるという問題もありますが、一番の問題は、マイナンバーカードなどの券面情報の印字の読み取りだけで、ICチップの情報を読み取れない点です。
チップの中の個人情報を読み取ることは、デジタル庁が公表している「窓口DXSaaS」の必須要件の1つです。
市民、職員にメリットあるシステムを
機器操作の部分でもテレビ電話は、所管課が当初毎日対応するという話でしたが、1週間に1日だけとなってしまい、現場の負担は全く軽減されていませんし、今までのように申請書を手書きしていた方が、早い部分も多々見受けられます。
ただ、いくつかの届出を同時に出す場合には効果を発揮します。市民窓口課だけではなく、国民健康保険や児童手当など他の区役所の窓口での申請書も同時に作成出来るため、手書きの書類をほぼなくすことが出来ます。
機器の成熟がもっと必要です。今回導入された機器が古いからかはわかりませんが、非常にスペックが低く、とてもスマート区役所を実現させるレベルにはないと思います。
デジタル庁は「窓口DXの前提条件は、窓口の業務改革であり、システムだけ利用しても無意味」とまで言い切っています。
市民サービスの向上を基本に、市民にも職員にもメリットのある良いシステムは実現できるのでしょうか。