ちょうさほうこく綴

商店街調査(2003.3〜5)

調査レポート「京都の商店街を総点検する」〜全市で854店舗が閉店、創意工夫で巻き返しを計る商店街も〜



 5年に一度、国で商業統計調査が行われている。さる3月19日に2002年の調査結果速報が経済産業省から発表された。
 それによると、卸売業では事業所数、年間商品販売額、就業者数いずれも2桁の大幅な減少である。事業所数は、38万事業所、前回(1999年)比10.9%の減、1994年調査以降中間の調査を含め4調査連続して減少している。
 小売業の減少傾向はさらに深刻である。事業所数は、全業種で減少し前回比で7.6%の減少で130万事業所となった。1982年(172万事業所)をピークに減少が続き、1962年(127万事業所)以来の低い水準となっている。業種別では、飲食料品(47万事業所)が最も多く、次いで、織物・衣服・身の回り品(19万事業所)。1968年には小売業の半分を占めた飲食料品が、36%へと縮小。一方、ホームセンターの含まれる他に分類されない小売業やドラッグストア、調剤薬局の含まれる医薬品・化粧品の割合が拡大。ドラッグストアや調剤薬局の新設が寄与した医薬品・化粧品(前回比3.5%増)が増加し、他の業種は全て減少となっている。



◆市内168商店街に足を運んで調査

 このような状況の中で、京都市内の商店街の実態がどのようになっているのか、商店街のすべてを対象に現地調査したものはなかった。そこで、京都市職労では今年3月から5月にかけて商店街空き店舗調査、通称シャッター調査を実施した。組合員自身が商店街の状況を直接実感し問題意識を深めることも念頭におきながら、すべての商店街の実態を明らかにすることを目的にしたものである。
 商店街には、商店街振興組合法に基づくものと任意で結成されているものがある。今回の調査では、京都市及び京都商店連盟の資料を参考にし市内168の商店街を対象にした。
 私たちが「商店」としたものは、一般に卸売業、小売業といわれるものと商店街の賑わいをつくりだす点に着目し、サービス業等もふくめ、不特定多数の人が購入、賃貸、サービスを受ける目的等で入店できるものを「商店」として調査対象とした。
 そして「閉店」としたものは、人が住んでいる、住んでいないにかかわらず、建物はあるが商店として閉店しているもの、住宅地図には商店があるが今はないものを「閉店」とした。したがって、住宅地図と異なる屋号・業種の商店にかわっているものは「閉店」にはカウントしないこととした。
 これに基づき、168商店街について、その商店街の範囲を対象に住宅地図を持って商店がなくなっているかどうかの現地調査を行なった。



◆全国平均を上回る「商店」数の減少率

 商店街が対象とする範囲もそれぞれによって大小様々である。距離が長いものでは西京区の嵐山商店会は阪急嵐山駅から松尾橋までの間をその範囲としてる。上京区の西陣千本商店街振興組合は千本通の今出川通から上長者町通の1256メートルが範囲である。逆に、中京区の花遊小路商店街協同組合などのように街区の長さが120メートルと範囲を絞り込んでいるものもある。京都駅周辺にある京都タワーデパート会、ポルタ名店会、THE CUBE名店会、アスティ京都共栄会(新幹線京都駅構内)の4つは建物の一部に入っている商店街である。

 調査結果は別表の通りである。閉店店舗の全市合計数は854であった。閉店された店がその商店街の会員かどうかは不明であるが、ひとつの目安として、閉店店舗数を2000年の会員数で除してみると、約11%である。使用した住宅地図の発行日も同一ではないが1998年から2000年のものである。国の商業統計調査によると小売事業所数は全国平均で前回比7.6%の減少。京都府内の小売事業所数は前回3万3088が2002年には2万9938に減少しており、減少率は約9.5%である。京都市内では卸売業が6113、小売業が1万8587で、合計で前回より10.6%、2934件減っている。
 私たちの調査では商店の定義も異なるし、閉店された方の中には会員でない方も含まれているだろうから11%の数値は下がってくる。それでもやはりこの数字は、国の調査の率を裏付けるものと解釈してよいのではないだろうか。



◆専門店・タバコ屋・酒屋さんがいつの間にか…

 いくつかの商店街の状況を紹介してみたい。
 都心中心部に位置する四条通の烏丸通から四条大橋西詰の商店街、四条繁栄会振興組合はこの4月、風俗店の出店禁止やマンションの建設規制などを定めた「四条通地区計画」の地元案を市に提出している。空き店舗が増え、風俗店の進出や周囲の景観に合わないマンションが建設される可能性を防ぐため、地区計画案の策定を進めてきているものだ。新聞報道によると計画案では「京都を代表する風格と華やぎある商店街」を維持し、「良質な環境と景観のある都心空間」を形成するため、キャバレーやテレクラなどの出店禁止、四条通までの距離が20メートル未満のマンション建設禁止などを定めている。また、四条通に面した建物の1階部分に、物品販売店や飲食店などの誘致を図るものとされている。ここでは9件の店舗がなくなっている。調査員は「大資本流通はそこそこ繁盛しているが、昔からある専門店やタバコ屋・酒屋などはいつのまにかなくなっている。」と感想を述べている。
 「家具のまち」として親しまれている中京区の夷川。烏丸通から寺町通の範囲で夷川会をつくっている。ここでは8件が閉店していた。創業100年前後の老舗2店が今年になって相次いで倒産、そこには倒産の張り紙がしてあった。また、すでにマンションが建っていたり、工事中の敷地もあった。家具を中心とした商店が立ち並ぶ通りにマンションが入り込んでくると、明らかに街並みが変わる。専門店街としての存続には、すべてが他店との競争という他の商店街とは違った商環境があるが、都心のマンション通りにはなってほしくない専門店商店街である。

 市内中心商店街のすくそばにあり京の台所として知られている京都錦市場商店街振興組合。ここは寺町通から東洞院通がその範囲である。ここでも3件の店がなくなっていた。店舗減数としてそれほど変化はないものの、一部「食に関する」もの以外の店ができていた。生鮮食品や総菜を扱う店が中心の商店街でそれ以外の店が出店することは、慣れ親しんだお客さんにとっても違和感を感じるものである。商店街振興組合は、将来空き店舗が発生した時に錦市場らしさを保てる店舗の誘致を進めようと、物件と出店者を結ぶ「テナントミックス事業」を振興組合内に新たに立ち上げたそうである。ここは夷川会よりさらに専門店が集中しているだけに「錦市場らしさ」を守ることの手立てを今考えておくことが切実な問題として取り組んでおられるのだろう。



◆家賃を払う店はほとんど閉められていく…

 近隣地域の中心になっている商店街や住宅地の中にある商店街はどうなっているだろうか。

 北区の新町商店街は新町通の北大路通から北山通を範囲とし、すぐ近くに大型店の北大路ビブレがある。ここでは4店舗がなくなっていた。「大宮通に比べて北大路ビブレに近いせいか、客足ほとんど見られない。店舗がなくなった後は、住宅かガレージに転用されるケースが多い。」と調査員は感想を語っている。

 上京区の中立売通と一条通の千本通から下ノ森通西を範囲とする北野商店街振興組合では7店舗がなくなっていた。調査員は「伝統的な商店街で、業者組織もしっかり機能していると思われる。千本通の量販店との競合で経営は厳しいものと推察します。アーケード、統一看板等があり、商店街としての統一感があった。こじんまりと落ち着いた感じだった。」との感想を寄せている。

 左京区の下鴨中通専門店会は下鴨中通の北大路通から一本松までの商店街である。調査員は「下鴨地区に最も近い大型店は北大路ビブレになる。そのため地域の人は、日常の買い物を近くの商店でしている。特に公設市場の周辺は常に人がいる印象。元々住居と混在している商店街なので、賑わいもないが、さびれた印象もない。」という印象を受けている。しかし、ここでも6店舗がなくなっている。
 中京区の西新道錦会商店街振興組合。ここは先進的な地域密着型の様々な取り組みを行なっている商店街でよく知られている。商店街の範囲は西新道の通りだけではなく、その通りを軸にして東西の道へも範囲を伸ばしている商店街である。ここでは28店舗がなくなっていた。

 東山区の東大路通の七条下るから第一日赤病院までの範囲の今熊野商店街振興組合では13店舗が閉店。同じく東山区にある古川町商店街振興組合。この商店街では市民組織「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」が考案、審査認証している環境規格「環境マネジメントシステム・スタンダード」(KES)を取得しようと環境面での取り組みを進めている。ここでは12の店舗がなくなっていた。

 山科区の小金塚団地にある小金団地繁栄会では閉店数はゼロであった。

 南区の竹田街道、八条通から大石橋下る一筋目、九条通の高倉通から烏丸通を範囲とする九条商店街振興組合では19の店舗がなくなっている。「九条通りの南側は商店があっても薄暗くて活気のない印象を受けた。調査の範囲外だったが、ジャスコ京都南店が閉店になり、6時過ぎの時間帯にもかかわらず閉店している所が多かった。」と感想を述べている。

 右京区の新ときわ商店会は大映通り商店街振興組合の北、常磐段止町から常磐窪町、常磐馬塚町から太秦蜂ヶ岡町に位置する商店街である。ここは5店舗がなくなっていた。印象では「商店街と言うよりも住宅の中に商店が点在しているような所であった。東映撮影所の裏通りでスナック(飯屋含む)が多かった。」と報告されている。

 西京区は洛西ニュータウン内を除けば2つしか商店街がない地域である。高島屋洛西店内にあるラクセーヌ商店会では調査時点ではファーストフード店だったところが空き店舗のままになっていた。

 伏見区の稲荷繁栄会は本町通の深草榎木橋町から深草直違橋通九丁目を範囲としている。ここでは11店舗が閉店している。感想では「家賃を払う店はほとんど閉められていた。新たに店舗を借りる人が現れない。三代も続けている店で、27才の息子に継がせたいが、商店街として全体が盛り上がらないと息子も継いでくれない。アイデアを教えてほしいとのこと」と記され、商店主の苦悩が伝わってくる。

 京都市は6月4日、2010年までに取り組む商業振興施策の方向性と具体的なアクションプランを盛り込んだ「新京都市商業振興ビジョン」(仮称)を来年3月を目途に策定することを発表した。新たな3つの視点、食品の安全性の確保をはじめとする「消費者の目線に立った商業の振興」、市内すべての商店街の活性化を目指した「個々のお店の魅力アップ」、空洞化が危惧される「都心繁華街の活性化」の視点に立った既存の枠組みにとらわれない自由で活発な議論を行ない、新たな方針と行動計画を策定しようというものである。
 右肩上がりの商店街活性化や「一人勝ち」の商店街活性化はもはや過去のものである。21世紀の日本は高齢化社会である。消費者の利益が商店主、商店街の利益に連携するものでなければならない。商店街、商店主への緊急対策も必要であろう。その一方で消費者は市民、市外から来る人々である。その人たちが安心して地域や訪れたまちで買物ができることに通じる政策目標とそれに基づく事業等こそが、長い眼で見て、安心して暮らし、魅力的なまち「京都」に通じる道であろう。
 京都市産業観光局をはじめ関連局の職員の奮闘を期待したい。
 最後に、紙面を借りて、この調査に直接、間接に参加された組合員の皆さんのご苦労に感謝するしだいである。

( ねっとわーく京都 8月号より 抜粋)

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