特集

【検証】指定管理者制度


【検証】指定管理者問題



指定管理者制度とは
〜市民の共有財産がもうけの道具に

 これまで「公の施設」の管理は、自治体や、自治体が2分の1以上出資する法人などに限定されていましたが、地方自治法が改正され、株式会社を含む民間事業者が管理することも可能になりました。
 指定管理者制度では、管理権限をも委任するので、本来行政が行う利用許可を行い、一定の範囲で料金を自由に設定して、使用料は委託料とあわせて指定管理者の収入とすることができます。
 結局、市民サービスのための市民の共有財産ともいうべき施設が、企業のもうけの対象とされ、利潤追求の道具にされるという大きな問題が出てきます。


公の施設とは
〜地方自治体が住民のためにさまざまなサービスを提供する施設です

 「住民の福祉を増進する目的を持ってその利用に供するための施設」とされています。つまり地方自治体が住民のためにさまざまなサービスを提供する施設、たとえば保育所、児童館、公園、福祉会館、体育館、図書館など、住民の身近にある施設です。
公の施設の中には、民設の保育所・福祉施設は含まれません。また、自治体所有の施設でも、学校など個別の法律で管理者をうたっている場合は、指定管理者制度を適用することはできません。しかし今、政府は民間参入を「阻害」している法的規制を一括して緩和する法律で個別法の制約をなくそうとしています。


指定管理者制度と管理委託制度の違いは?


  指定管理者制度 管理委託制度〜これまでの「民間委託」
性格 地方公共団体の指定を受けた「指定管理者」が管理を代行 地方公共団体の管理権限のもとで、具体的な管理の事務・業務を管理受託者が執行
指定管理者/管理受託者の範囲 団体(法人格不要)に限るが特段の制約なし。民間企業の参入可能。 以下に限定
地方公共団体の出資法人の内、1/2以上出資など一定の要件を満たすもの
公共団体(土地改良区など)
公共的団体(農協、生協、自治会など)
利用許可 指定管理者が行う 地方公共団体が行う
料金の設定 条例の範囲で指定管理者が自由に設定可能。 地方公共団体が行う
使用料 指定管理者の収入 地方公共団体の収入


 
 

コラム1

施設の維持管理も
指定管理者の業務

 管理権限を委任する指定管理者制度のもとでは、施設の維持管理は指定管理者が行うことになります。もっとも、大規模改修などは地方公共団体の責任とされています。

     

コラム2

これまでの委託は廃止。
現在委託を受けている施設は
3年以内に選択を

 「指定管理者制度」導入にともなって、これまでの管理委託制度は廃止されます。現在委託を受けて公社、公団、社会福祉協議会などが業務を行っている施設は、3年以内=2006年9月2日までに指定管理者制度に移行するか、直営を堅持するかの選択が迫られています。しかし、各自治体とも予算や組織の見直しが求められるため年度当初からの切り替え、すなわち、実質的には2006年4月スタートで作業が進められます。

 
   



市民にとって
〜税金でつくった施設で民間会社が「利益」をあげる!?

 「指定管理者制度」では、施設の管理だけでなく運営についても指定管理者が一定の枠の中で自由にできることになります。まさに税金でつくった施設で民間会社が「利益」をあげることができる制度です。
 もうけをあげなければ民間事業者にとってメリットはありません。仮に最初は安い料金に設定されても、もうけを確保するために後で利潤をさらに上乗せした料金に引き上げられる心配があります。
 また、市民が平等・公平にサービスを受ける上でも大きな問題をもっています。指定管理者が公正な利用を保障しているかどうかの行政としてのチェックは、その指定管理者を選定する自治体がもつ調査や指定の取り消しを通じての間接的なものになります。


公的セクターに働く職員にとって

〜賃金・労働条件の切り下げ、雇用問題にも波及!

 委託を継続する場合でも2006年9月2日までにあらためて指定管理者を選定しなければなりません。総務省は、複数業者による競争での選定を指示しており、競争原理のもとで、これまでの公的セクターでの「公務員に準拠する」労働条件が大幅に引き下げられるなど、そこで働く労働者の身分・労働条件は著しく不安定なものにならざるをえません。現在受託している公的セクターが、指定管理者に指定されなければ直ちに、臨時・非常勤・パートも含めた職員の雇用問題が発生します。また、2003年9月2日以降、京都市での新たな「公の施設」の指定期間は、3〜5年で設定しています。契約が継続できるかどうか不安定な職場の増大は、賃金・労働条件の切り下げや雇用問題に拍車をかけることにつながります。


直営の「公の施設」で働く市職員にとって

〜職場がなくなる!?

 公務をもうけの対象に変質させ、自治体リストラをいっそう進めようとする政府・財界の方針のもと、この機会に「指定管理者制度」導入という新たな直営切り捨て・自治体リストラ攻撃が全国的に加えられています。京都市では具体的な方針は明らかになっていませんが、当局による「検討」が進められているのも事実です。最悪の場合、まさに究極の自治体リストラとして、職場がなくなりかねません。

 

コラム3

公的セクターに派遣されている市職員は?

 政府・財界のねらいは公務の市場化ですから、自治体から派遣という人的な配慮を受けている公的セクターとの競争は不公平という「批判」も十分考えられます。また、法律上、派遣されている市職員の給与は派遣先団体が支払うことになっていますから、派遣先団体とすれば民間との競争の中で人件費コストの問題が生じるなど、派遣の趣旨や派遣先団体の性格などによっては、派遣を引き上げる可能性も発生します。

 



政府・財界のねらい

 指定管理者制度は、政府が推し進めようとしている自治体のアウトソーシング(外部の経営資源を活用すること)のツールのひとつとして、位置づけられるものです。これまでの民間委託や地方独立行政法人化、構造改革特区による規制緩和、PFI事業だけでなく、法の必置規制の緩和、労働者派遣法改正などの労働法制の改悪など、公務の市場化を推し進めるアウトソーシングの動きとあわせて、この制度をみていかなければなりません。


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