福祉事務所「窓口業務の民間委託化」でどうなる
窓口業務の民間委託化
京都市版 官製偽装請負が職場で!?
2016年の12月末に、保健福祉局から民生支部に、「窓口業務の民間委託化」が突如として提案されました。「生活保護の医療扶助・介護扶助の見直し」とする福祉事務所の医療券や介護券、疾病届の取次ぎなどの窓口業務について、民間業者へ業務委託するというものです。この提案に組合員から怒りと、とまどいの声があがっています。
「偽装請負」となる危険性や、さらなる窓口業務の委託化による人員削減や住民サービスの後退などの懸念が強まります。
福祉事務所に違法職場?!
そもそも、公共サービスの産業化や地方交付税を人質にしたトップランナー方式により、「民間でできるものは民間で」の流れが強まっています。京都市では、「子ども若者はぐくみ局」の設置に伴う組織改正にあたり、「すべての業務を検証して業務の集約化や効率化を徹底する」とします。そのなかでの生活保護の医療・介護扶助業務の一部を業務委託する提案がされました。
提案された業務委託の根本的な問題の一つに、事業者との契約は「業務委託」であったとしても、単に「労働力の提供」、つまり実質的には「労働者派遣」であると「偽装請負」となる危険性があります。職員へのコンプライアンスを迫る一方で、福祉事務所に法違反の職場をつくることになりかねません。
職員の連携・協力を絶ち切る
「業務委託」とは、業務を「丸投げ」し、受託事業者内で業務が完結しなければなりません。今回の場合では、市職員が委託した業務を行う従事者に対して、直接、指示命令を出すことはできません。「偽装請負」となるためです。福祉事務所の同じフロア内で、窓口対応、電話の応対、医療券などの発券など、委託業務に従事する労働者が、窓口が混雑していても、トラブルの対応などに困難を抱えていても、近くにいる市職員がアドバイスや直接的な応援ができないという、いびつな状況が生まれます。
また、今回委託しようとしている業務は、生活保護の実施の一部であり、その部分だけ切り離すことは困難です。対象者の状況は多様で、支援の方法も医療に関わる課題なども一人ひとり異なります。現在、福祉事務所では、医療券の担当職員は生活保護ケースワーカーと連携・協力しながら業務を行っています。その連携・協力関係を断ち切ることにもなります。さらに、委託化のなかでプライバシー保護の観点でも懸念されます。
住民サービスを後退させる
今回の提案を突破口にして、窓口業務の委託化によるさらなる人員削減がねらわれる可能性もあります。公共性のある自治体の窓口業務の委託化は、住民サービスを後退させるものです。民生支部では職場討議を重ね、「提案は受け入れられない」としています。市職労一体として、自治体業務の公共性の観点から、安易な人員削減のための業務委託化の動きを許さず、適正な人員配置を求める運動を強めていきます。