2020年度京都市予算案に対する声明
2020年度京都市予算案に対する声明
京都市は2月13日、2020年度予算案を発表しました。予算規模は全会計で1兆6845億円(一般会計7840億円、特別会計6281億円、公営企業会計2725億円)となっています。予算案は、地方交付税の削減や法人市民税の減収を、公債償還基金の取り崩しや、後年度負担を伴う行革債、調整債の発行など特別の財源対策で手当てするといった厳しい財政運営を引き続き余儀なくされています。
消費税の増税が強行され、社会保障の改悪が進められる中、市民のいのち・暮らしを守る自治体本来の役割が求められます。しかし予算案は、市民の切実な願いに冷たく背を向けるものとなっています。子どもの医療費支給制度拡充、全員制の中学校給食、国民健康保険料引下げ、給付制奨学金の創設など、市長選挙で争点となり大きな期待が寄せられた政策の実現には一切応えないばかりか、事業の見直しとして、夏季歳末特別生活資金貸付の廃止など、市民生活を応援するささやかな予算までも切り捨てています。その一方で、リニア中央新幹線の誘致、北陸新幹線の延伸、堀川バイパストンネルなど、多大な負担をもたらす大型事業は推進する立場を継続しています。
予算案は、「民間にできることは民間で」という方針のもと、業務の民営化・委託化や集約化・効率化等を推進し、前年度を上回る205人の職員削減などで、人件費削減(17億円)を行うものとなっています。昨年7月に民間委託を導入して設置された「京都市証明書郵送サービスセンター」において郵便請求事務の慢性的な遅延が発生したように、「公共サービスの産業化」は、市民サービスの水準を低下させ、自治体の公的責任を大きく後退させるものです。また、4月からの介護保険認定給付業務の民間委託化を前提にした予算案にもなっていますが、委託事業者がどのような体制で業務を行うのかも未だに市民や介護事業者に明らかにされていないなど、介護保険業務に重大な混乱が生じることが強く危惧されています。集約委託の4月実施はいったん中止し見直すべきです。
職場では、業務量に応じた人員が配置されず、長時間労働が蔓延する状態が続いています。現市長は選挙公約で人件費総額を今後4年間で100億円削減するとしていますが、これ以上実態を無視した職員削減が続けられれば、職員の心身の健康を脅かし、市民サービスの一層の後退をもたらすことになるのは明らかです。
以上のように今回の予算案は、安倍政権の方針そのままに呼び込み型の大企業優遇の大型事業と「公共サービスの産業化」を推進する一方で、市民や職員にしわ寄せをするものです。これでは「持続可能な都市を目指す」といいながら、市民生活は疲弊し、自治体が自治体でなくなるばかりです。こうしたあり方を転換し、暮らしや子育て、若者への支援などで市民のフトコロを温めることや、中小企業への直接支援などに予算を傾注し、京都経済の活性化させて税収増につなげ、財政の健全化を図るとともに、現場に近いところに職員と権限と予算を配置して、住民自治の力と職員の力を結集していくことが、本来の地方自治を取り戻す道です。
京都市職労は、市民の暮らしを支える自治体の役割が発揮され、信頼される市政の実現とともに、職員が健康で働きがいをもって働き続けられる職場環境をめざして、市民・関係団体のみなさんとともに、市民の切実な要求実現に向けた運動を一層強めて奮闘します。
2020年2月26日
京都市職員労働組合中央執行委員会