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2020年07月02日

京都市交響楽団メンバー 配信で活動を再開 ~人と人をつなぐ演奏を~

京都市交響楽団メンバー
配信で活動を再開~人と人をつなぐ演奏を~

 文化、芸術、音楽業界でも新型コロナの影響は深刻です。人と人の結びつきによってつくられるオーケストラのサウンド。しかし京都市交響楽団(京響)の楽団員にも自粛の波が襲っています。「何とかしたい」の思いから生み出されたネット配信、星野源さんの「うちで踊ろう」のコラボが話題です。これをきっかけに配信で活動を再開しようと奮闘する、京響の金本洋子さん(ビオラ)、出原修司さん(コントラバス)、杉江洋子さん(バイオリン)から聞きました。

文化、芸術業界でのコロナ禍の影響

杉江 びわ湖ホールで3月初旬に開催した無観客のオペラ公演の配信と、3月末に無観客での定期演奏会を開催しました。オペラ公演では『どうしても演奏させてほしい』という思いでしたが、たった一カ月の間で開催することが恐怖に変わりました。無観客での演奏会もはじめての事態でした。4月に入ると、すべてが止まりました。何のために演奏するのか自分を見失ってしまうような状況でしたが、金本さんの発想から配信で演奏をすることになりました。あらためて人と人の結びつきや一緒に演奏できることの嬉しさを実感しました。文化や芸術は人と交わることで成長するのだと思います。同時に、私たちオーケストラもいつフル編成で演奏できるのかわかりませんが、コロナ禍前のようなサウンドを取り戻せるのだろうか、止まった時間を回復させることの不安や難しさもあります。

自粛から踏み出す一歩
配信を通じて

金本 早くから週一回程でウェブ会議と称した飲み会でいろんな話をしてみんなの思いを聞きました。「何とかしたい」という思いのなかで、星野源さんの「うちで踊ろう」を色んな人がコラボをした配信が目に留まりました。一方で、収録のクオリティや音楽の質にも課題があることが見えました。そのとき、友人で編曲家の三浦秀秋さんがSNSでオーケストラの音源を配信していて、それを誰かと一緒に演奏したかったんです。「一発ぶちかましてやろう!」と京響メンバーに声をかけると次々に集まってくれて、とても質の良いものが完成しました。星野源さんに届け!と#(ハッシュタグ)をつけて発信していると、私たちの配信が星野源さんのオールナイトニッポンで取り上げられて大絶賛をいただきました。
並行して、くるりの曲「宿はなし」を岸田繁さんと一緒にリモート収録をする企画を立てました。一つずつ音を重ねて丁寧に丁寧に。子どもを産み育てるような作業を通して、とても良いものができました。
その二つの配信をきっかけに、6月に予定していた弦伍楼のコンサートの中止もあって、配信を通じて音楽を届けようと、今回の配信を企画しました。
出原 一般の方でも手軽に配信できる時代に、玄人の意地とでもいいますか、クオリティの高いものをやろうとこだわっています。
出原 私たち京響楽団員は4月から財団の職員となりました。財団化は決して良かったとは言えないけれど、国が定めた法律のなかで、今の形態を維持するためにはしかたがなかったのかもわかりません。運営の形態が変わっても「市民に愛されるオーケストラが京都にある」ことを世界中に発信させていきたいという思いです。
私たちは京都市職労に残り文公支部京響分会を存続させました。それは、1960年代の職員化闘争から続く「楽団員は職員と同じ労働条件を持つ」「給料が上がるのも、下がるのも職員と一緒」を合言葉に続けてきた支部・分会の歴史があり、それを守っていかなければという思いからです。現在、京響が誇れる演奏の水準はその運動があったからです。財団との交渉は京都市交響楽団労働組合で行いますが、市職労と一体となって運動していきたいと思います。

「弦伍楼」(げんごろう)

京響の弦楽メンバーでつくるyo-yo-ju。さらにメンバーを加えて弦伍楼として発展。名付け親はくるりvo.岸田繁さん。岸田繁さんは京響にも楽曲を提供しています。
来年6月16日に京都コンサートホールでコンサートを開催予定。
今回、収録した楽曲はYouTubeで配信します。チャンネル登録してね!
[弦伍楼]URL
http://www.youtube.com/channel/UC7UNXerFJkPuBVMdlYtx7ZA