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2021年06月15日

新シリーズ  デジタル法案と自治体デジタル化の ここが問題!①

新シリーズ
デジタル法案と自治体デジタル化のここが問題!①

5月12日、デジタル改革関連法案が参議院で可決されました。

政府は「デジタル社会の形成が、世界競争力の強化や国民の利便性の向上に資する」として、今年9月には司令塔となるデジタル庁の設置を決定しています。

しかし、その中身は個人情報を守る法整備が不十分で、個人情報漏えいのリスクが高く、標準化の押しつけで自治体独自の住民サービスの切り捨てにつながるなど、多くの問題を含んでいます。

個人情報が民間企業で利活用可能に

2017年2月14日、日本経団連は「Society5.0(注1)に向けた電子政府を求める」との提言を発表し、マイナンバー制度の積極的活用や国と民間とのデータの連携、国や地方を通じた業務プロセスの根本的見直しの徹底など、その後次々と提言を発表しました。

2020年5月には、AIやビッグデータなどを活用し、暮らしやビジネスの最先端未来モデル都市とする「スーパーシティ構想」実現に向け、スーパーシティ法が国会で成立。社会全体のデジタル化を進めるために、総務省は、『自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画』を2020年12月に発表しました。

『自治体DX推進計画』では「データが価値創造の源泉であることについて認識を共有し…多様な主体との連携により民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値が創出されることにより…国際競争力の強化が期待される」と、自治体の保有するデータを民間企業に利活用することがあからさまに示されています。

司令塔・監視塔となるデジタル庁の新設

今回、国会で成立したデジタル改革関連法案は、「デジタル社会形成基本法案」「デジタル庁設置法案」「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案」「預貯金者の意志に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案」の6つの法律案で構成されています。

デジタル庁設置法案は、内閣総理大臣をデジタル庁の長とし、「強力な総合調整機能(勧告権等)を有する組織」とされ、さらに「基本方針策定などの企画立案、国等の情報システムの統括・監理、重要なシステムは自ら整備」するとし、デジタル化の司令塔として内閣総理大臣が強力な権限を持つことになります。

基本的人権・地方自治形骸化させる危険性も

しかし、国民の利便性を強調しながら、個人情報を守る法整備は不十分なままで、財界の利益追求のため個人情報が利活用される危険性や、個人情報の監視・統制のリスク、地方自治体と地方行政がゆがめられるなど、いくつもの危険性をはらんでいます。

自治労連全国弁護団は、3月16日、『(意見書)デジタル改革関連法案と自治体DX推進計画は許されない』を公表。①国とデジタル関連民間企業による自治体支配が行政を歪めるおそれがある②標準化の押し付けにより自治体独自の公共サービスが維持できなくなるおそれがある③窓口業務の無人化・廃止により住民の権利を守る機能が失われるおそれがある④住民の個人情報保護が脅かされると、4つの大きな問題をまとめています。
この4つの問題点を、今後4回シリーズで詳しく伝えていきます。

(注1)ビッグデータを踏まえたAIやロボットが、今まで人間が行っていた作業や調整を代行・支援するため、日々の煩雑で不得手な作業などから解放され、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる社会:内閣府HPより抜粋