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2021年07月01日

【声明】市民のいのちと暮らしを守ることを最優先に~「行財政改革計画(案)」は根本的に見直しを~

【声明】市民のいのちと暮らしを守ることを最優先に~「行財政改革計画(案)」は根本的に見直しを~

2021年6月25日
京都市職員労働組合中央執行委員会

市民のいのちと暮らしを守ることが自治体の最大の役割――それを投げ捨てるのか

京都市は、「行財政改革計画(案)」(以下「計画(案)」)を6月7日に発表しました。

「計画(案)」の最大の問題は、市民生活への影響を顧みることなく財政改革につきすすむ市の姿勢です。今コロナ禍のもとで、市民の生活基盤が大きく揺らいでいるにもかかわらず、それに追い打ちをかけ、市民のいのちと暮らしを守る自治体の最大の役割を投げ捨てるものになっています。

市民に一層の負担を強いてまで、今行うべき事業なのか、その視点での徹底した事業見直しこそが必要

「計画(案)」では、とりわけ、国や他都市の水準を上回っている事業は見直しが必要として、民間保育所への補助金や敬老乗車証の見直し、保育料・学童クラブ利用料の改定などを具体的に列挙されています。

見直しが実施されれば、保育士が働き続けられなくなり、高齢者の外出や社会参加の機会を奪い、子育て世代に負担を強いることになります。コロナ禍で生活不安、生活苦に陥っている市民に、追い打ちをかけるものです。

一方で、大規模事業についての検討は極めて不十分です。職員が、市民に負担を強いてまでも今行うべき事業なのか疑問視する事業でも、市の方針だからと何十億円もの大型事業が予定通り実施されています。また、北陸新幹線は巨額の財政負担が予想されますが、市の推進姿勢は変わっていません。

「計画(案)」は、守るべきものの優先順位が間違っているのです。

恣意的で過大に演出された「財政危機」

「計画(案)」は、「財政危機」の原因を、国や他都市水準を上回る福祉施策を実施してきたことだと描いています。地方交付税の大幅な削減や、地下鉄東西線建設費の高騰や平成初期の大規模投資事業などは、財政危機の背景として触れられているにすぎません。そしてこの13年間、門川マニュフェストの実現については新たな財政負担が生じても最優先にすすめてきたことへの反省もありません。

また、2021年度の財源不足額について、昨年11月の試算では500億円と推計し、「財政危機」を強烈に印象付けました。しかし、予算編成時(2021年2月)には、収入の見込み違いの修正分も含め、財源不足は236億円に縮小しています。

市が実施しようとする「改革」ありきで、「財政危機」が演出されるようなことがあってはなりません。実態に即した分析と、詳細で検証可能な財政状況の公開が必要です。

これまでの行財政改革で市民のいのちも職員のいのちも守れない事態が起きている

「計画(案)」では、他都市より職員数が多いからと、5年間で550人の職員削減を目指しています。

職員はすでにこれまで13年間で3500人が削減されました。その結果、職場や職員に大きな負担が強いられていると同時に、業務集約や業務委託により、市民生活を守り支える公的責任の後退や市民サービスの低下が生じています。

2017年に集約された感染症対応部署では、昨年度コロナの対応で、1年間に1500時間を超える残業を行った職員が9人もいました。なかには過労死基準の3倍以上になる月251時間もの残業をせざるを得なかった職員もいます。そして、自らの健康や家族を犠牲にして働いてもなお、感染拡大時には必要な対応がおいつかず、市民のいのちも職員のいのちも守れないという事態が起きています。

市民生活を守るためには、そのための職員体制が不可欠です。

国追随ではなく、市民のいのちと暮らしを守ることを最優先にする市政に

京都市の財政悪化に大きな影響を与えているのが、地方交付税の削減であることは間違いありません。

同時に、京都市の行財政改革の方向性は、国の自治体政策が背景にあります。国に対して、地方交付税をはじめ財政措置をしっかり要望していくこと、国追随ではなく、市民のための市政に転換することが必要です。

行財政改革においても、市民のいのちと暮らしを守ることを最優先にして市の政策や施策、事業を徹底的に見直すことが必要であり、「計画(案)」の根本的な見直しを求めます。

私たちは、今後も引き続き、市民の生活を守るために職員が働きがいをもって仕事ができる市政実現にむけて、奮闘する決意です。