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2021年07月15日

市民のいのち守る視点欠いた 消防職員150人削減計画 ─京都市行財政改革計画案─

市民のいのち守る視点欠いた消防職員150人削減計画
このまま黙っていたら消防に未来はない ー京都市行財政改革計画案─

行財政改革計画案では、今後5年間で550人の職員削減を行うとし、そのうち消防職員を150人削減する方針を示しています。全体の削減数の約3割を占める異常さです。

多発する自然災害や高齢化に伴う救急出動の増加など、消防に対する市民からの期待は高まっています。

しかし、京都市は財政難を理由に、他都市と単純に職員数を比較し、火災予防や消防活動などを担う職員を削減しようとしています。

京都府は6月29日、京都市消防局と府南部の消防指令センターを共同運用する計画案を示し、消防の広域化に併せて行財政改革計画案による人員削減で、消防力の衰弱化は深刻です。

「このまま黙っていたら消防に未来はない」と、奮起する京都市消防職員ネットワークの会会長の松永幸雄さん、木村眞さん、山田隆さんの3人に話を聞きました。

火災件数最少
地域に根ざす活動で

これまで京都市は、政令市の中で人口1万人あたりの火災件数が1・4件と最少、救急車の現場到着時間も6分48秒(ともに2020年)と最短を記録し、消防力の強さを誇りとしてきました。(京都新聞7月6日)

京都市域は、他の政令市と比べ、広く山林に囲まれ、歴史ある社寺や仏閣、古い町並みで木造建物の密集した地域が多いことなどから、火災予防施策を充実させるため人員を確保してきました。

木村さんは、「火災件数の少なさは、地域の高齢者宅等を一軒一軒訪問し、防火安全指導や、自主防災会の育成指導など、防火にも力をいれ、地域に根ざした防災活動を地域の人々とつながりをつくりながら行ってきたからこそ」と言います。

指令センター
集約化の危険性

阪神・淡路大震災以降も、各地で地震や水害の発生は後を絶たちません。

「災害時、最も必要になるのはマンパワーといわれるが、150人減るということは極端にそのマンパワーを減らすことになる」と松永さんは指摘します。

現場対応力は低下させないと強調する当局ですが、今回の計画の中では人員削減を目的に、現在の3交代制から2交代制への変更も検討されています。

もともとは週休2日の休日の確保と職員の身体的負担の軽減等を目的として、3交代制が導入され定着化した経緯があります。勤務体制の変更のための検討会を設けるといいますが、検討会は、交代勤務をしている職員は入らず、日勤の管理職のみ。現場の実態に即した体制が確保されるのか疑問視する声もあります。

2006年以降、国は都道府県に対し消防の広域化を推し進めています。京都市と府南部の消防指令センターを1カ所に集約化する計画案では、30年度までに府内全消防指令センターの共同運用を目指すとしています。

国の指針では、救急や消防車両の数は、管轄する地域の人口が多くなるほど配置基準が緩やかになる仕組みになっています。広域化で管轄地域が広がり人口数が多くなると、必要とされる救急車や消防ポンプ車の数が減らされることになり、当然人員も減らされることになります。

火災発生や救急通報時、車両到着に時間がかかり、被害が拡大し、救える命が救えない事態が発生しかねません。

「阪神・淡路大震災の経験で、救助にはいろんな組織があるが、火を消すことは消防にしかできない。他都市の部隊と連携しながら消火に全力を注ぐことで、被害の拡大を防ぎ、住民の命を救うことにつながる」と山田さんは自身の体験を語ります。

市民の命守る体制づくりへ賛同呼びかけ

消防職員には、地方公務員法で職員団体の結成・加入が禁止されているため、労働組合をつくることができません。職員同士が議論し、直接当局と交渉できないため、上層部の決定がトップダウンで現場におろされます。

「『おかしい』と声に出して対抗できる力がないことでターゲットにされているのではないか。このまま黙っていたら消防に未来はない。あきらめず仲間に声を届けたい」

京都市消防職員ネットワークの会は、行財政改革計画案に対する声明を発表し、現場の職員の意見を取り入れられる検討会の設置を求めるとともに、実態を市民に知らせ、市民の命とくらしを守る消防体制づくりを市民と職員とともに築いていこうと、賛同を呼びかけるHPを立ち上げました。消防の仲間にニュースで実態を知らせ、運動を広げる取り組みをすすめています。

なにより行財政改革計画案には、市民の命と財産を守る視点が全くないことを看過することはできません。京都市職労は、京都市消防職員ネットワークの会とともに、市民の命とくらしを守る自治体本来の役割を京都市政に取り戻すため、共同して運動を進めていきます。

京都市消防職員ネットワークの会
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