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2021年10月25日

デジタル法案と自治体デジタル化のここが問題!④

その3 窓口業務の無人化・廃止により、住民の人権を守る機能が失われるおそれがある

総務省の自治体戦略2040構想研究会の第2次報告(2018年)では、新たな自治体行政の基本的考え方として、「半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」「破壊的技術(AI・ロボティクス等)を使いこなすスマート自治体へ転換」などと提言がなされ、自治体に対し、窓口の無人化や窓口の廃止に向けた発信を繰り返しています。

今後、自治体のデジタル化が強引に推し進められ、窓口の無人化や廃止がされた場合、申請や届けはスマホやパソコンなどからのオンライン申請が原則となり、本人確認もマイナンバーカードや顔認証で行い、デジタルやAIによって自動的に処理されます。

問い合わせはホームページにアクセスし、AIが自動回答。住民が職員に直接相談したい場合でも、オンラインでの申し込みが求められる可能性があります。

一見スマートで、利便性、生産性の高い自治体業務や行政サービスになるように見えますが、それはあくまで、対応できる企業や住民に限られたものです。

自治体の窓口業務は、申請や届けの受付だけではなく、住民に職員が直接対応することで、必要な行政サービスにつなぎ、住民の人権や生存権を保障する役割を担っています。

滋賀県野洲市では、住民の生活困窮を予防するため、「くらし支え合い条例」を2016年に制定し、公共料金を扱うすべての窓口で、行政側から生活に困りごとをかかえる住民を早期に発見して支援につなぐ方式を導入しています。

多重債務の相談件数は年々減少し、厚労省も生活困窮者対策のモデル自治体として紹介しています。これが自治体の本来の姿です。

コロナ禍で格差と貧困が拡大し、様々な困難を抱えながら、自治体の窓口に相談することすらできていない住民が増えている今、自治体から住民に積極的に働きかける必要性が高まっています。

自治体の窓口業務の無人化・廃止は、自治体の役割を否定し、社会的弱者とされる人々のいのちと暮らしそのものを脅かすものにほかなりません。