2014年度予算案に対する声明
◆ 京都市は7日、2014年度当初予算案及び2013年度2月補正予算案を発表しました。会計規模は全会計で1兆6,404億円(一般会計7,395億円、特別会計6428億円、公営企業会計2,581億円)で、前年度当初比384億円(2.3%)減、一般会計は29億円(0.4%)増となりました。中小企業融資制度預託金の大幅減を除く実質ベースでは、一般会計は前年度当初比2.5%増の「積極予算」となっています。
◆ 予算編成の重点にも「国の経済対策に積極的に呼応した公共投資の増額」「京都の強みを生かした成長戦略の推進」などが第一に掲げられており、安倍・自公政権が復活して大幅増となった昨年度並みの公共事業拡大路線を色濃く反映したものです。
◆ そのような中、約100億円の市税収入増を見込みながら、職員数削減等による約30億円の人件費削減にとどまらず、様々な事務事業見直しによる財源ねん出など、市民サービスの切り捨てを進める内容となっています。一般会計における市債残高についても、「実質」ベースで約150億円の縮減としたものの、国が返済責任をもつ臨時財政対策債を含めた全体残高は約200億円増となっており、市民一人あたりのいわゆる借金は86.8万円(昨年比約1.4万円増)に達することになります。
◆ さらに、4月からの消費税増税分を使用料・手数料に転嫁させるため、水道料金の値上げなど約24億円の市民負担増を盛り込んでいます。増税に合わせて、国から低所得者や子育て世帯への臨時給付金(該当世帯あたり1万円乃至1万5千円。総額61億円)が措置されますが、“ばらまき”批判の強かった定額給付金(2009年実施)の域を出るものではありません。
◆ 国の悪政が強行されるもとで、京都市が自治体として市民生活の防波堤の役割を果たすことが求められますが、市立保育所の民間移管や身体障害者リハビリセンター附属病院の廃止を前提とした予算となっています。このほかにも京都市は、若杉学園の民営化方針なども示しており、くらしを守る公的責任を投げ捨て、「自立・自助」「受益者負担」を強調する方針に沿った社会福祉後退の予算となっています。
◆ 「積極予算」の名のとおり、公共投資には2月補正予算と合わせて約705億円が計上され、橋梁の耐震改修や河川改修、幹線道路整備などの防災・減災対策に重点配分されているほか、待機児童解消に向けた民間保育所の整備助成等も盛り込まれています。地元中小企業支援によって京都経済を活性化し、雇用を確保するためには、公契約条例や中小企業振興条例の策定により、地元中小企業が優先的に発注できる仕組みを強化し、賃金を底上げすることを通じて地域循環型経済へ導くことが必要です。リニア中央新幹線の誘致活動費が引き続き計上されており、財界と一体となった誘致活動が強化されようとしていますが、大手ゼネコン優位の大型公共事業が地元中小企業の発展を阻害し、巨額の借金財政を作り出してきた反省の上に立って、真にくらしに役立つ身近な公共投資を充実させることが求められています。また、昨年の台風水害を受け、排水機場の耐震改修も予定されていますが、機器の改修だけではなく、日常の整備点検に必要な人員体制の構築が不可欠です。
◆ 来年度予算編成にむけ、当初107億円とされた財源不足を補うため、職員の給与削減や給与制度の見直しなどの総人件費削減や様々な事業見直しなどの市政リストラが予定されています。とりわけ、区役所・支所の市税賦課業務集約化を前提とした市税事務所の設置提案は、人件費削減ありきであり、「効率化」「人材育成」の打ち出しとは正反対のものです。市民生活がいっそう厳しさを増す中だからこそ、市民へのきめ細かな相談、説明責任を果たす体制を強化することが求められており、市民サービスの後退は許されません。
◆ いま安倍政権は、集団的自衛権の行使や憲法改悪、消費税増税、TPP推進、社会保障改悪などを一気に進めようとしており、その暴走ぶりはとどまるところを知りません。私たち市職労は、暴走政治と国民・市民との矛盾が広がるもとで、引き続き市民生活を支える自治体の労働組合として、「住民の福祉・暮らしの増進を図る」という基本を守り、「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画に基づく自治体「構造改革」ではなく、職場を基礎にして、市民の視点に立った仕事の見直しをすすめます。
2014年3月4日
京都市職員労働組合中央執行委員会
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