2014年02月12日
[ザ・しょくば] 2月11日付
▼昨年12月、厚生労働省は2004年~12年までの間に保育所での死亡事故が124件(認可41件・認可外83件)と発表した。子どもの権利を守り発達を保障するはずの場所で、たくさんの幼い命が奪われてしまっている現実に愕然とする。▼朝、子どもたちが保護者と登園する。「今日も無事に夕方まで過ごせますように」と心のどこかに思いながら一日がスタートする。職場は欠員で人手が足りない。子どもたちは、障害をもつ子や深刻な家庭環境にある子など様々だ。「朝ごはん食べてきてないな」「表情が暗いな」「友だちとよくけんかしているな」と、一人ひとりとじっくりと関わりたい。でも多忙な仕事に追われる毎日。そんな時、もしも子どもの命に関わる大きな事故が起きたら。▼戦後から一貫して変わらない保育所の最低基準。「待機児解消」のもとでの子どもたちの詰め込み。保育士の劣悪な労働条件。来年度には保育の新制度がスタートする。自治体単位で保育の基準などが決められていくため、京都市でも昨年に「子ども子育て会議」が設置され、議論されている。公立保育所民営化や民間保育所の補助金削減など、保育への公的責任を縮小しつづける市の姿勢が改めて問われる。▼そして、保育士は子どもたちだけでなく、社会のあり様にもしっかりと目を向けていかなければならないのではないだろうか。保育士の自己責任だけでは子どもの命は守れない。(三木じろう)