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2016年03月15日

【ザ・しょくば】2016.3.11

 とある方の話。職場の先輩に〝仕事で失敗しない方法〟を問われ答えに窮していたところ、その先輩は「仕事をしないこと」と教えてくれた。もちろん真意は違う。仕事に失敗は付き物。その失敗の被害を最小限に抑えるのが、職員の責務であり、同時に組織の責務でもある。▼最近の京都市はどうだろう。市民窓口や文書発送時の対応ミス、生活保護費の過払い問題…。これらの事案を非行と同列に不祥事として扱い、職員個人の責任に押し付け、その失敗の背景となる組織としての問題(体制不足、慢性的な超過勤務など)に目を背けていないだろうか。▼オーバーワークを自覚しつつも全体の奉仕者として一所懸命に仕事をこなした結果のミスが、不祥事扱いされ、場合によっては多額の損害賠償となれば、当然に職員は委縮する。窓口に立つ市民に声を掛けない、鳴り続ける電話に出ない、業務に追われる職員を手助けもせず見て見ぬふり。こんな殺伐とした職場の光景が目に浮かぶ。保身のため自分に割り振られた仕事以外はしない職員たち。▼誤解をおそれずに言えば、組織は失敗に寛容になるべきだ。市民や職場を思って良かれと思ってやったこと、果敢にチャレンジしたことを評価する組織であるべきだ。私が新採の頃、上司から「自分の感性を信じ市民のために思い切って仕事しろ。困ったときは必ず守ってやる」と言われたことを今も鮮明に覚えている。(颯吉)