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「京都市病院事業に係る今後の経営形態のあり方について」答申に対する声明

 12月17日、京都市は、京都市立病院と市立京北病院の経営形態を現在の市直営から「地方独立行政法人(非公務員型)」に変更することを最適とする内容の「京都市病院事業に係る今後の経営形態のあり方について」の答申を、京都市医療施設審議会から受けた。京都市は、今後この答申をもとに「病院改革プラン」として具体化を図ろうとしている。

 京都市が医療施設審議会に対して今回の諮問を行った背景には、07年12月に総務省が「公立病院改革ガイドライン」を策定し、自治体に対し08年度内に「病院改革プラン」の策定を迫っていることがある。
 この「ガイドライン」は、政府の「骨太方針2007」にもとづく社会保障費削減政策の一環として位置づけられ、地域の医療実態をどのように把握しそれをどのように改善するのかという視点は全くなく、徹底した数値目標管理による経営効率化の推進によって「改革」を行おうとするものである。これは自治体病院の本来の使命である「公共の福祉の増進」の否定につながり、地域医療と自治体病院に新たな困難をもたらしかねない。そして、近江八幡市立病院のPFI契約の解除など、公的病院の切り捨て政策がかえって自治体財政を圧迫するという事態も起こっている。
 京都市は、こうした「ガイドライン」による国の政策誘導に追随せず、住民のいのちとくらしを守る立場で、住民や医療関係者などの意見をふまえた医療政策づくりにこそ取り組むべきである。

 「地方独立行政法人化」の真のねらいは、ひとつは施設の経営を自治体から切り離すことによって経営の「効率化」を徹底し、自治体の財政支出を削減すること、もうひとつは職員の定数削減を図ることであり、そのしわ寄せは住民・患者と職員に向けられることになる。
 先行した国の独立行政法人では交付金の縮減が重大な問題になっている。また、06年度から独法化された大阪府立病院では、患者には文書料、個室料、初診料、分娩料等の値上げなど負担が増大し、職員には「目標管理」に沿った採算優先の運営によって過密労働と疲弊がもたらされている。
 答申では独法化によって「権限と責任」がより明確化し、「機敏で柔軟な運営をタイムリーに」行うことができるなどとしているが、財政的に締めつけられた状況では絵に描いた餅にならざるを得ない。審議会の中でも独法化による政策医療の後退や運営費削減などを危惧する意見が多く出され、「答申」自体、「政策医療の提供」「必要な運営費交付金の確保」「運営の透明性の確保・向上」など多くの留意事項を指摘していることからも、なぜ独法化なのかという問いに答えるものにはなっていない。

 京都市職労病院支部が2000年から実施している市民への「医療要求アンケート」では、医療費や保険料の負担軽減を求める声が年々高まり、07年には50%を超えた。また、開業医からも市立病院に求めるものは、「公的医療の充実」が65%と「独法化など効率化」の25%を大きく上回っている。「貧困と格差」がひろがり、「医療・介護難民」が社会問題となっている今、自治体病院に求められているのは「経営効率」ではなく、どんな住民・患者も切り捨てない公的医療の充実である。
 京都市職労は、京都市立病院と市立京北病院が、誰にでも安心・安全の医療を提供し「地域まるごと健康」になる拠点としての役割を果たしていくためにも、地方独立行政法人化には反対し、市の直営で存続させることを求めるものである。そのために幅広い住民・団体と共同して、公的医療の充実を実現する運動を大きくひろげていく決意である。

2008年12月17日
京都市職員労働組合中央執行委員会

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