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【コラム】ザ・しょくば

2024年2月1日

 このコラムまで読んでいる意識の高い読者は、きっと市長の年頭訓示も熟読されていることだろう。市長はその中で、「風通し良く、意欲と活気に満ちた職場づくりを」、そして、「そのためには「一笑懸命」働くように」と述べている。さて、これは正しいのだろうか。確かに市長の言う「一笑懸命」働くこと、それ自体は私もいいことだと思うし、忙しいとき、トラブルが起きたときこそ、「おもしろくなってきたぁ!」と自分に言い聞かせ、笑顔を作って働くよう心がけている。しかし、これだけで風通しの良い職場になるのかと考えると、甚だ疑問である。私の考えでは、風通しの良い職場に欠かせないのは「心理的安全性」である。笑顔で人を傷つける人はいるし、笑顔で不適切な指示を出す上司もいる。セクハラ加害者はみな笑顔だし、被害者は笑顔でそれを我慢している。笑顔であっても職場の空気を悪くする人はいるのだ。つまり、「笑顔で懸命に働いてさえいれば風通しが良くなる」という認識は、明らかな誤りであり、「理不尽なことも笑顔で我慢しろ」という意味にすら受け取れる。風通しが良いように「見えるだけ」なのである。本当に必要なのは「他者を傷つける人が職場におらず、心理的安全性が確保されることで、自然と笑顔で働けること」ではないだろうか。次の市長には、課題の本質を理解して、的確なメッセージを発信してもらいたい。(みそかつ)

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